公認会計士試験は難しいのか?合格率推移から本当の難易度を知る! 連載①

合格率推移分析
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公認会計士試験の難易度を知るために「合格率」を徹底分析

公認会計士試験を目指すならやっぱり気になるのは、合格率・難易度でしょう。直近では2023年1月20日に「令和5年公認会計士第Ⅰ回短答式試験の合格発表」もありましたが、これから「会計士を目指そう」と思った人なら、まず気になるのは「合格率」でしょう。

確かに、合格率やその推移を見ることは、公認会計士試験難易度を知る参考になります。

そこで今回は、公認会計士試験の合格率推移等を過去21年分(2002年から2022年まで)について一挙公開、徹底分析します。なお、分析・紹介する内容は以下となります。

ボリュームがかなり多いため、複数回に分けてご紹介します。今回は、①②についての検証となります。是非、最後までご覧ください。

 公認会計士試験の合格率推移等を分析

それでは、「公認会計士試験の合格率推移」を見ていきます。下記は、2002年(旧試験)から2022年までの過去21年分の会計士試験受験願書提出者数、論文式試験合格者数(最終合格者)、及び合格率推移となります。

*記載内容は、会計士旧試験制度の2002年~2005年、及び新試験制度の2006年~2022年(一部異なる)の21年間分について、公認会計士・監査審査会HPのデータを基に作成しております。個人で作成しているものなので、誤植などあれば、お知らせください。

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公認会計士試験合格率推移_令和4年まで 作成:CPA-MAP 引用元:公認会計士・監査審査会HP

公認会計士試験の「受験者数推移」からわかること

会計士試験の受験者数推移は、表中の青棒グラフとなります。ポイントは下記です。

2006年から2010年まではほぼ受験者数が右肩上がり、大幅増。

2006年から会計士試験制度が変更。会計士の人数を増やすという国策に沿った受験者数の動き。

2011年から2013年までで急減、その後横ばい。

合格者が増えすぎたため、就職先がない「合格者未就職問題」等の影響。また、合格率も急減したことから、敬遠する動きもあったか。少なくとも「会計士人気」は下がったと推測。

近年、受験者数ば右肩上がり。特に直近、2022年は大幅増。

近年の合格率や会計士合格者の就職環境に大きな変化はないが増加傾向。ただ、2020年からは「コロナ」により社会環境が大きく変化。こうした要因が「手に職」という点で受験者増に寄与したか。また、最近では三大難関資格全て合格された方がマスコミで取り上げられたことで「会計士」の社会的認知度が上がったことも一因でしょう。


以上となります。「受験者数推移」からのみでわかることは限られていますが「会計士人気」の有無という点では参考になりますね。

公認会計士試験の「合格者数」及び「合格率推移」からわかること

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公認会計士試験合格率推移_令和4年まで 作成:CPA-MAP 引用元:公認会計士・監査審査会HP
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公認会計士試験合格率推移_令和4年まで 作成:CPA-MAP 引用元:公認会計士・監査審査会HP

「合格者数」及び「合格率」の推移について見ていきます。合格者数はオレンジ棒グラフ、合格率は灰色折れ線です。ポイントは下記です。

会計士試験の合格率は「10%」というイメージがおおよそ正しい

新試験制度に変更した2006年から2022年までで合格率平均は11.0%(願書を提出した100人のうち、最終合格は10人前後)となります。さらに、近年2015年から2022年までの平均はちょうど10%となります。そのため、近年の会計士試験合格率が「10%」という理解はおおよそ正しいでしょう。

合格者数は近年、微増傾向

新試験への変更直後は乱高下していますが、近年は微増の右肩上がりといえそうです。また、2022年は一気に昨年より100人近く合格者数が増加していますが、合格率が2%近く下落したことから「受験者は増えたが合格水準に達していない母数の増加が大きく、合格率は低下」と言えそうです。

試験制度変更時は狙い目か?・・・2006年の合格率は注意
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会計士試験合格率推移:2006~2008年 作成:CPA-MAP 引用元:公認会計士・監査審査会HP

新試験制度変更直後の2006年は合格者数が大幅増で「易化」したと言われます。

実際、2006年の最終合格者は3,108人と前年1,308人より大幅増です。しかし、この合格者数は、その年に短答式試験合格⇒論文式試験合格(今で言う5⇒8)した者1,372人と2005年以前の旧試験合格者1,736人が含まれます。そのため、一見すると前年から急増していますが、純粋に2006年に短答式⇒論文式まで一発合格した割合は、旧試験の合格率とほぼ同じ(8.5%)です(この年は変更一発目で科目合格免除者もいない)。

試験制度変更直後は安易に「狙い目」と考えるのは注意です。

試験制度変更後の動き①・・・2007年

2007年は最終合格者4,041人に対し、短答式試験⇒論文式試験まで合格した者(2,695人)と旧試験の合格者(1,346人)です。2006年との大きな違いは、短答式試験合格から論文式試験合格した者の合格者が急増(1,372人→2,695人)という点です。また、この年からは、前年の免除組も加わっており、受験者層も大きく変化しています。

以上から、①合格者数自体が大幅増(2006年/3,108人⇔2007年/4,041人)、②免除を利用した受験者増から、前年までと比して「易化」したと言えそうです。

試験制度変更後の動き②・・・2008年

2008年は最終合格者3,625人に対し、短答式試験⇒論文式試験まで合格した者(3,024人)と旧試験の合格者(601人)です。旧試験の合格者は大幅に減少し、傾向が変わりつつあります(旧試験合格者は、今後増えることはなく減少するのみ。2006~2007年で大多数の旧二次試験合格者も新試験制度で合格した模様)。

また、別のデータとしては、短答合格者の割合があります。論文式試験申込6,933人に対し、2008年の短答合格者3,515人、過年度合格者3,418人の構成です。ほぼ2人に1人は過年度短答合格。この比率を見ると、戦略的に複数年で合格を目指す方法が主流(ただし、意図せず複数年になるケース含む)になりつつあるということがわかります。なお、最終合格者は前年より絞られた結果、合格率は低下です。

合格者の「未就職問題」・・・2009年以降

2009年以降は、多少の上下はありますが、試験制度変更前の合格率水準近くまで下落します。これは「合格者の未就職問題」が影響しています。合格しても就職先がない、こういった情報が広まったこともあり、合格者数の減とともにそもそもの受験者数が下落の一途を辿ります。ちなみに、2007年、2008年あたりは四半期開示やJ-SOX開始の影響で各監査法人が大量採用したものの、そこまで人員が不要だったことがわかり、2009年以降は採用を絞ったことも原因でしょう。

2017年あたりから近年・・・横ばいから再び人気復活?

直近の2017年~2022年までの推移は注目です。再び受験者数数が右肩上がりです。これは「会計士人気が戻った」という見方や「旧試験経験者が改めて新試験で挑戦」「働きながら複数年で合格を目指す」という受験者が増えたことも一因でしょう。また、コロナ禍でより「資格」への意識が高まったことも理由かもしれません。

ただし、合格者数自体は横ばい=合格率は低下です。試験制度変更により、「受験しやすくなった」ことで受験者数は増加したが、結局「合格水準に達していない母数が増えた」ことで合格率は低下している、と言えそうです。

ちなみに、2022年の合格率7.7%は、2011年6.5%、2012年7.5%に次ぐ試験制度変更以降、3番目の低さという非常に厳しい結果でした。

補足|論文式受験者に占める旧試験合格者受験割合

2006年以降の新試験制度にて、旧二次試験合格者は新試験制度にて一部科目合格をする必要があります。今後、新試験制度下では新たな合格者は生じないので、毎年減少していますが、受験者にどの程度含まれるか、参考までにご紹介します。

画像はクリックすると拡大されます。
*会計士試験合格率推移まとめ 作成:CPA-MAP 引用元:公認会計士・監査審査会HP

やはり2006~2008年あたりはまだ多数の旧二次試験合格者がいたようです。しかし、年々減少し、2019年はわずか1.8%となっています。旧二次試験合格者、いわゆる「会計士補」と呼称されていますが、近年、見かけることはなかなかないでしょう。

公認会計士はどのくらい難しいのか?|合格率推移と難易度 まとめ


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いかがだったでしょうか。下記、まとめです。

✓ 会計士論文式試験の合格率は全願書提出者母数で11.0%(2006年からの平均)
✓ 近年の会計士論文式試験の合格率は全願書提出者母数で10.0%(2015年からの平均)
✓ 直近令和4年(2022年)は7.7%(前年より▲1.9%)
✓ 2006年の合格率は見方に注意
✓ 近年は合格率で見ると難化傾向(10.1%⇒9.6%⇒7.7%)

本日はここまで。続きのテーマについては次回以降、ご紹介します。

<合格率分析シリーズ連載⑤本は下記リンクから>
★「公認会計士論文式試験の合格率を徹底分析!」の記事はこちらから
★「公認会計士合格者年齢を徹底分析!」の記事はこちらから
★「公認会計士試験に働きながら合格できるのか?」の記事はこちらから

★「公認会計士試験でも出題誤り頻発!?」の記事はこちらから

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