公認会計士の論文式試験合格率から難易度を知る!連載②

合格率推移分析
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公認会計士「論文式試験」の合格率を分析

公認会計士試験を目指す上でしっかり理解したい「合格率」。今回は特に「短答式試験合格者」に意識してほしい「論文式受験者合格率」を分析していきます。特に分母を「答案提出者」(=申し込みはしたが実際は受験していない者を除く数値)とした論文式試験合格率は、本来、会計士試験を最後までやり遂げた人が参考にすべき合格率となります。

ということで、今回は「論文式試験の合格率推移」について、2002年から2022年までの21年分のデータを基に徹底分析してご紹介します。

①受験者数の推移 前回の記事
②旧試験から令和4年新試験までの合格者数及び合格率推移 前回の記事
③論文式受験者(申込者)を分母とした合格率推移 今回の記事
④論文式受験者(答案提出者)を分母とした合格率推移 今回の記事
⑤論文式試験合格者に占める女性比率推移

⑥論文式試験合格者の年齢
⑦論文式試験合格者の会社員比率
⑧その他、試験の「誤記」「トラブル」等

上記の内、今回は③④についての検証となります。是非、最後までご覧ください。

公認会計士試験「論文式試験」を徹底分析

それでは、「論文式試験受験者(申込者)を分母とする合格率推移」を見ていきます。下記は、2002年(旧試験)から2022年までの過去21年分の論文式受験者数、論文式試験合格者数、及び合格率推移となります。

*記載内容は、会計士旧試験制度の2002年~2005年、及び新試験制度の2006年~2022年(一部異なる)の21年間分について、公認会計士・監査審査会HPのデータを基に作成しております。個人で作成しているものなので、誤植などあれば、お知らせください。

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公認会計士論文式試験合格率推移_令和4年まで 作成:CPA-MAP 参考:公認会計士・監査審査会HP
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公認会計士論文式試験合格率推移_令和4年まで 作成:CPA-MAP 参考:公認会計士・監査審査会HP

公認会計士試験の「論文式試験(申込者分母)の合格率推移」からわかること

会計士試験の論文式受験者数推移は、表中の青棒グラフ合格理率推移は灰色折れ線グラフとなります。ポイントは下記です。

2022年の合格率は実は前年より上昇

前回の記事で会計士受験者全体に対する最終合格者は7.7%で昨年より「難化」していると紹介しました。しかし「論文式試験」に限って言えば、実は昨年の34.1%⇒35.8%で「易化」となります。つまり、短答から論文まで一気に走り抜けた人には「難化」でしたが、過年度免除等で当年度に論文のみ受験の場合は、昨年より若干、合格しやすかったと言えます(あくまで数値上ですが)。

会計士論文式試験の合格率は「35%」

よく「論文式試験までいけば、10人中4人は合格」と言われます。しかし、近年2015年~2022年までの合格率平均は「35%」程度です(特に最近は「難化」傾向)。そのため、論文式受験者の中で上位4割では微妙なラインであることがわかります。直前期の模試等で自分がどの位置を目指すべきなのか、改めて考えてみましょう。

ただし、後述の「論文式試験(答案提出者ベース)」の場合、実は「4割」が合致します。

試験制度変更時は狙い目か?・・・2006年の合格率は過去21年で最低

試験制度変更直後の2006年、合格者数(絶対数)が大幅に増加し会計士試験は「易化」と言われました。しかし、内容を精査すると①旧試験合格者が多数いた、②論文式合格率に限ると過去21年で最も低い、の2点から「最難関」の試験だったとわかります。

要は「試験制度変更・会計士を増やすというイメージに流され受験者数が激増したが、そのほとんどは短答で脱落し、論文式試験の合格率は旧試験と変わりないものだった」ということです。

試験制度変更や国策による士業を増やす取り組みは、必ずしもすぐに試験の「易化」につながらない点、注意が必要です。

試験制度変更後の動き・・・2007年、2008年

試験制度変更から2回目、3回目の試験ですが、いずれも合格率は「40%超え」となります。この2年については「公認会計士を増やす」という国策が顕著に表れた結果でしょう。過去21年を見ても、他は2004年(旧試験)の一度のみ、他にはありません。

おそらく2006年は「公認会計士を増やす」要請はあるものの、一気に増やして質を落とせないため合格率は絞ったが、「もっと増やせ」という要請から2007年、2008年は合格率が高めに推移したと言えそうです。その点でこの2年については「易化」したと言えそうです。


結局のところ、試験制度変更や国策が絡むと合格率は異常な動きを見せます。それが、受験生にプラスかマイナスかはわかりませんね。

公認会計士試験の「論文式試験(答案提出者)の合格率推移」からわかること

一般的には、合格率算定で分母に「論文式試験の申込者総数」を使用します。しかし、これは正確ではありません。理由は「申込だけして受験しない者」が一定数いるためです。そこで、ここからは論文式受験者(ただし、分母は答案提出者=欠席者除き)に対する合格率をご紹介します。

論文式試験の受験者が本来、参考にするべき合格率です。赤枠がポイントです。なお、監査審査会HPにて公表されている情報の関係で、2013年~2020年までのデータとなります。

画像はクリックすると拡大されます。
公認会計士試験合格率推移(答案提出者ベース)作成:CPA-MAP 参考:公認会計士・監査審査会HP
論文式試験を会場で受験すれば「4%~5%」合格率が上がる

ご覧いただくとわかりますが、おおむね4%~5%程度、論文式受験者総数(受験申込したが受けなかった人を含む)を母数にした場合より、合格率が上昇しています。つまり、論文式試験で受験会場へ行き、答案提出までやり遂げれば、ほぼ4割は最終合格できるということがわかります。

論文式試験に申し込んだが受験しない者が「10%」もいる

論文式試験受験資格がありながら、答案を一切提出しない未提出者(=欠席者)が意外に多いことがわかります。毎年、約10%程度です(上表の「非受験率」として表示)。個別事情はあるにせよ、最後まで諦めなければ、結果的に合格率が引き上がることがわかります。

公認会計士はどのくらい難しいのか?|合格率推移と難易度 まとめ


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✓ 2022年の「論文式」合格率は実は上昇
✓ 2002年~2022年で最も「論文式試験合格率」が高いのは2007年、低いのは2006年
✓ 会計士論文式試験の合格率は論文式試験申込者母数で35%程度(2015年からの平均)
✓ 会計士論文式試験の合格率は論文式試験受験者母数で40%程度(2013年からの平均)

本日はここまで。続きのテーマについては引き続き次回。

<合格率分析シリーズ連載⑤本は下記リンクから>
★「公認会計士試験過去21年分の合格率推移徹底分析!」の記事はこちらから
★「公認会計士合格者年齢を徹底分析!」の記事はこちらから
★「公認会計士試験に働きながら合格できるのか?」の記事はこちらから

★「公認会計士試験でも出題誤り頻発!?」の記事はこちらから

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