令和5年公認会計士第Ⅰ回短答式試験の結果について

合格率推移分析
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短答式試験の結果を振り返る

昨年12月に短答式試験を受験後、本日までモヤモヤした日を過ごしたかと思いますが、それを一段落。結果を確認し一喜一憂していることでしょう。

そんな中、今回は公認会計士・監査審査会の結果発表内容をふまえ、振り返りを行いたいと思います。

✓ ボーダーはどうだったの?
✓ 管理会計の出題ミスの扱いは?
✓ 科目別の難易度は?

✓ 専門学校のボーダーは当たったの?
✓ 第Ⅰ回と第Ⅱ回の合格率、難易度について
論文へ向け気持ち新たにという人も、しばし頭休めにご覧ください。

令和5年第Ⅰ回の短答式試験ボーダーは「71%」

公認会計士・監査審査会のHPでは「総得点の70%を基準」とあり、今回の結果は「71%」なので概ね示された基準通りの結果といえそうです。

その点で、試験の難易度としては「適正」だったと評価できます。

え?結構、試験についてSNSで文句出てたけど・・・

そんな声が聞こえてきます。また、配点の妙も多少はありますが、知識レベルが玉石混合の受験生に対し、出題側が「総得点の70%」近辺の合格ラインにできる問題を作問することは、相当に難易度が高めです。

その点を鑑みると、「71%」のボーダーに落ち着いたことは、今回の試験全体としては「適正」だったということです。あくまで全体の評価ですが。

管理会計の出題ミスは「実務では起こりうる」こと

試験後、SNSや専門学校の解説でも話題になった「管理会計論 問題6」。出題内容が不適切であったというので、「解なし」という推測が広まっていました。これについて、公認会計士・監査審査会の見解は以下です。

公認会計士・監査審査会HPより引用 

いろいろ書いていますが、要は「問題文に誤記あったけど解答上は問題ないでしょ。だから対応しません」という話です。

これについては、いろいろな見方があります。個人的には「実際に試験を受けたら、通常はスルー、もしくは少し引っかかるが無視して解いた」というケースが大勢だったと思います。その意味で時間をかけて、解答にたどり着いた受験生を評価する点で安易に「解なし」にしなかったことは良かったのかもしれません。実際、問題自体は解けるようですから。

ただ、問題の違和感に引っかかり、先に進めなかった人、時間を無駄に費やした人もいるでしょう。そういった人達が置き去りにされた事実は間違いなくあります。

いずれにしても、私見としては「問題文の誤記はあるが、解くこと自体はできる」という意味で、「解なし」にしなかったことはありなのでしょう。

しかし、ここでお伝えしたいのはそんなことではありません。とにかく「不備のない出題をしろ」ということ、そして不備があったなら「謝る」ということ、その2点です。

この公表文を読まれて受験生は何を思うでしょうか。

私は「こねくり回した言い訳」にしか読めません(実務では起こりうるケースって生産開始していないものが月初に存在するって、どう起こりうるのでしょう。資料ミスは実務でもありうるということか?)。こういった言い回し、いわゆる「間違っているけど自身は間違ってないかの如く伝える」手法は会計士によく見られますが・・・。

間違ったらシンプルに謝る、それが大事だと思いますけどね。

科目別の難易度はやはり「企業法」が難関

こちらもSNSや各専門学校のコメントでありましたが、想定どおり「企業法」の難易度が高めだったようです。下記は、科目別の平均得点比率です。

公認会計士・監査審査会HPより引用 

通常、この得点比率は、40%台中盤で推移していますが、今回は40%を切る結果に。大学院修了による免除で企業法のみ受験の方は苦戦したかもしれません。

一方で財務会計論は49.7%と平均が50%に迫る結果です。こちらは以前お伝えしたとおり「易化」の結果となりましたね。

以上から、今回の試験については、免除なし、財務会計論を受験した方が総合的には優位だったと言えそうです。

専門学校のボーダー予想は「外れる」もの

こちらで合格発表前に各専門学校のボーダーを取り上げました。基本は「73%」(CPA、TAC)というイメージですが、結果は「71%」。予想より下回る結果となりました。

なお、あまり話題になっていませんが、大原は「71%」予想だったので、見事に当たりです。

これについて、いろいろ意見はありますが、個人的には通常、「専門学校のボーダーより実際は下振れる」と考えています。理由は、Webサーベイ等に提出する受験生は総じて結果が良かった人が多いことが挙げられます。もちろん、そのあたりも鑑みてボーダー予想になるのでしょうが、「高め」に予想した方が影響が少ないこともあるでしょう。

つまり、「合格したと思っていて不合格より、不合格と思っていたのに合格だった方が影響が少ない」ということです。

前者だったら「専門学校のボーダーなんてあてにならない、最悪だ」と言われますが、後者の場合は「ボーダー予想?なんか知らんけど受かったからいいや!論文論文!」となりますからね。

もちろん、各専門学校はこれまでの経験とWebサーベイの結果をふまえ、当てにいっているとは思いますが・・・。

短答式の合格を狙うなら第Ⅰ回|結果分析

さて、最後に年二回行われる会計士短答式試験。合格を狙うならどちらが良いかという話です。以下は、2015年第Ⅰ回~2023年第Ⅰ回までの短答式試験ボーダー、合格率、合格者数推移とそのサマリーです。

まず、答案提出者数ベースでは1万人を突破しましたね。2015年以降では初めてです。会計士人気が上昇しているということでしょうか。

一方で合格者数はそれほど伸びておらず、2015年以降の第Ⅰ回合格率だけで比較するなら最低の結果となっています。この点、今回の試験は「難化」といえそうです。

なお、基本的に第Ⅰ回目の方が第Ⅱ回目より合格者数、合格率が高い傾向があるため(2018年以外、2021はコロナのため年一回実施で除外)、次回の令和5年第Ⅱ回短答式試験はより熾烈を極めるのではないか・・・と想像されます。

令和5年公認会計士第Ⅰ回短答式試験の結果について まとめ


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✓ ボーダーはどうだったの?⇒「71%」でほぼ基準どおり
✓ 管理会計の出題ミスの扱いは?⇒影響なしなのでそのまま採点
✓ 科目別の難易度は?⇒企業法難化

✓ 専門学校のボーダーは当たったの?⇒外れ
✓ 第Ⅰ回と第Ⅱ回の合格率は?⇒やはり第Ⅰ回。だけど今回は難易度最高レベル

いかがだったでしょうか。出題誤記ありでざわついた試験ではありましたが、これで一段落。合格した方は、切り替えて、論文式試験へ全振りです。

その他、気になる方は下記の記事もご覧ください。
★「やり続ければ合格できる」ならみんな合格するという話 こちら
★「中途半端は時間の無駄」会計士に挑戦する上で必要なこと こちら
★「試験に不合格だった時」に考えるべきこと こちら

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