会計士試験合格者や公認会計士の失敗しない就職・転職②|合格後の進路・キャリアを考える

公認会計士の就職
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会計士試験に合格したらどこに就職するか

さて、前回からの続きです。会計士の論文式試験合格後の就職先・キャリアとして、下記のようなケースがあるとお伝えしました。その内、1.監査をそのまま続ける、2.コンサルを目指すケースについては、前回の記事で概要、給与・報酬イメージ・特徴をお伝えしたところです。

合格後のキャリアプラン
前回の記事をご参照
 1.監査をそのまま続ける
 2.コンサルを目指す
今回の記事でご紹介
 3.会計事務所を独立開業
 4.事業会社で企業内会計士として活躍
 5.起業

今回は、残りの3つの公認会計士試験合格者及び公認会計士の就職先・キャリアプランついてご紹介します。前回の内容と合わせて、論文式試験合格後のキャリアイメージを明確にしていただければと思います。

会計士試験合格後の就職先・キャリア 会計事務所を開業

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会計士試験合格後、独立開業パターン 作成:CPA-MAP

 難易度  
両親の事務所継承/☆☆☆☆ 
独立開業/★★★★

 概要.  
同期の2割程度はこのキャリアです。両親の事務所を継承するケースもあれば、自身で開業するケースもあります。自分が社長になってビジスを展開するという点では、魅力が高いキャリアでしょう。

なお、このキャリアの場合、私の知人は全て監査法人→公認会計士登録のルートになっています。これは、会計事務所を開業する場合、中小法人・個人の税務申告がメインのため、基本は税理士業務になるためです。税理士業務を行うためには税理士登録が必要ですが、そのためには、会計士論文式試験合格のみでは要件を満たさず、修了考査合格まで必要なためです。早期に修了考査合格を目指すなら監査法人勤務が近道ですからね。

ちなみに、私の知人の場合、監査法人で勤務→公認会計登録後に開業したパターンと、そこからさらに一般事業会社へ転職し2年~5年程度経験後、開業したパターンがあります。いずれにしても、会計事務所を独立開業するキャリアを目指すなら、まずは監査法人に就職することがよさそうです。

なお、両親の事務所継承に比して、当然、ゼロからスタートとなる独立開業は難易度MAXとなります。

 給与・報酬.
独立開業は年収100万~、両親の事務所に入れば800万~ 

両親の事務所を継承する前提であれば、一定の給与は約束されます。しかもケースによっては、監査法人時代より上がることも。800万~と記載していますが、当然、事務所の規模に左右されますちなみに、話を聞いた同期には思わず、「まじかよ」とぼやいてしまったくらい待遇が良かったです。

一方で、独立開業の場合、開業当初は相当厳しいようです。新米税理士が担当する無料相談等の対応をしながら、営業をかけつつ、事務所のランニングコストを賄う必要があるため、知力、体力、金銭力ともに圧倒的な努力が必要となる選択肢でしょう。

初年度の給与は、教えてくれた同期は、100万スタートとのことでした。*ちなみに、会計士登録+税理士登録で開業した場合、会費がダブルで発生しますが、これがxx万なのでローブローのように効いてきます・・・。

 特徴等.  
競合する会計事務所、税理士事務所は多くあり、地方密着型の顧問契約も多いため、独立開業にて後発で参入するにはかなりの難易度です。しかし、税理士業界自体は年齢層がかなり高い(合格までに年数を要するケースや国税専門官退官後の開業も多い)ため、比較的年齢が若い会計士組はかなりぐいぐい営業や人脈を使いビジネスを展開していると話も聞きました。

なお、会計士が税理士事務所を開業する場合、やはり監査法人等で従事した内容と異なる専門分野への関与が多くなるため、いかに早くその内容をキャッチアップするかが重要です。会計士の試験でも租税関連の知識や、監査実務でも法人税を中心とした税額検証は実施するでしょう。しかし、私も申告の経験がありますが、実務は話が別です。営業しなければならない中で知識のキャッチアップもしなければならない、本当に大変だと思います。

自身の会計スキルに加え、営業スキル次第で給与は大きく独立開業、選ぶ時は慎重に。

会計士試験合格後の就職先・キャリア 企業内会計士として活躍

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会計士試験合格後、企業内会計士パターン 作成:CPA-MAP

 難易度  
合格後、即事業会社へ/☆☆☆ 
キャリアを積んだ後/☆☆☆☆

 概要.
会計士でありながら一般事業会社で働くという選択肢。通常なら会計士になったのに事業会社?と考えがちですが、間違いです。会計士だったからこそ働ける企業があり、また、企業も会計士だからこそ任せたい業務があります。この傾向は近年、顕著です。

行きたい企業の求人がその時にあるかどうかにもよりますが、試験合格後→事業会社のケースもあれば、私のように監査法人経由や同期ではコンサルファーム経由で事業会社に転職したケースも。

 給与・報酬等 
職歴なし試験合格後入社/400万~ 職歴あり転職/前職+α   
職歴なしで試験合格後に就職した場合、通常の一般事業会社・新卒給与程度でしょう。職歴ありの場合、つまり、監査法人やコンサル経由で転職の場合は、前職給与見合い+αとなります。職歴ありの場合は、給与の交渉なども場合よってはできるのでケースバイケースですね。

試験合格後、直接事業会社に入社する場合は、新卒扱いと同様と思われます。給与面というより、本来、入社できないような企業も採用される可能性が高まるというメリットはあります。

少しでも高い給与にこだわるなら、やはり監査法人経由をおすすめします。理由は、修了考査合格後の転職=公認会計士登録後の転職は給与面に影響するためです。監査法人経由なら最短距離で修了考査合格=公認会計士登録できる可能性が高いからです。

 特徴.
前述で給与メリットはない記載をしましたが、会計士試験の合格は強烈なインパクトになります。通常、大学を卒業しただけで競争率が高く入社が難しい企業でも、入社できる、働ける可能性が高まることは間違いありません。もちろん、従事する業務は数字を扱う部門になるでしょうが、会計士試験で勉強した知識を生かす点では問題ないでしょう。

また、職歴ありで転職する場合は、前述に加え給与面でも期待できます。もちろん、相応のスキルは求められますが、大手監査法人でシニア、主査経験まであれば、年次にもよりますが800〜1,200万辺りまでのオファーも30代前半から普通にあります。私自身もここ数年、転職した人間ですが、企業における数字のプロ、会計士のニーズは極めて高いことは間違いないです。

ただし、転職後、役員クラスにならなければ、基本は1,500万くらい上限で頭打ちかと思います。もちろん、転職先の企業の状況によりますが。その点、監査法人やコンサルファームと比較すると、給与上限の平均値・期待値は下がると言えそうです。

なお、イメージを持てていない人も多いんですが、キャリアを積んだ会計士が一般事業会社へ転職する場合=経理で伝票起票をする、といったイメージは間違いです。もちろん、経理部配属パターンは主流ですが、伝票の日次起票のようなことは、相応の企業に転職した場合はまずありません。むしろ、求められていません。任される業務は、企業結合、資本連結等の決算整理関連や単体、連結決算のとりまとめへの関与、現場経理窓口担当のフォロー、税務申告業務に監査法人調整やIRフォロー等がメインでしょう。

企業がM&Aをするならそこにも呼ばれるでしょうし、企業規模(ベンチャー~売上100億辺りまでの企業)によってはファイナンスも任されるかもしれません。いずれにしても、高度な会計知識が求められる業務となります。そのため、給与も相応になりますが。

また、配属部門等についても補足です。会計士=経理部、制度決算のイメージが強いですが、原価計算メインの管理会計や、グループ会社全体を管理したり予実管理をする経営企画、NPV等で投資意思決定の判断を行う部門への配属もあります。会計士=経理部のみというイメージは持たず、是非、選択肢の一つとして考えてみてください。

*コンサル、事業会社への転職は、RECRUIT AGENTの活用を。気になる給与面も経験あれば、年収1,000万~からしっかり交渉してくれます。

会計士試験合格後の就職先・キャリア 起業 

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会計士試験合格後、企業内会計士パターン 作成:CPA-MAP

 概要.難易度  
難易度MAX/★★★★★★★★

 概要
会計士としてのスキルを生かしながら、会計事務所ではない独立パターンです。私の知っている同期ではいませんが、先輩に活躍されている方がいます。このサンプル数だけ見てもかなりレアケースということです。

会計士と言ってもあくまで数字のプロであって、起業や経営が必ずしも成功するとは限らないということと、独立するなら会計事務所開業の方が馴染みがあるというのが理由でしょう。

 給与・報酬.
成功しなければマイナス、成功すれば一攫千金 
聞いた話にはなりますが、億を超えた時もあるとか。ただ、これはイレギュラーケースでCFOとして参画していた企業が他企業に買収されたというパターンです。株式の売却収入のインパクトですね。その後はファンド関連ビジネスをしているようですが数千万〜というところでしょうか。しかし、繰り返しですが、超レアケースです

なお、別ケースでは企業したけど撤退→事業会社へ転職→CFOというパターンもあります。

 特徴等.
会計、監査、税務にとらわれず、自分が好きなビジネスをできるという面白さでしょうか。そして、極めて成功は難しいと思いますが、成功した場合の見返りが大きいのが魅力。

しかし、本当にこのケースは少ない印象です。根底には数字を扱うスキルが生かされているのでしょうが、それ以外にやるべきことが多すぎ、また、競合をビジネスのプロが相手になります。

自分の中でやることが明確に決まっている場合は別ですが、その場合はそもそも会計士を取得する必要があるのか?という話もあるので、選択肢としては選ばれにくいケースなのかなと思います。なお、起業の別ケースについては、下記のようなケースも。

・簿記、会計関連のアプリ開発、提供する会社運営
・海外でライター兼会計士
・複数企業の非常勤監査役掛け持ち(会計事務所の開業に近いかも)

いずれにしてもハイリスク・ハイリターンの選択肢であることは間違いないでしょう。

会計士論文式試験合格後の就職先・キャリア まとめ

いかがだったでしょうか。前回と合わせて、会計士合格後のキャリア全5パターンのご紹介は以上となります。

 合格してから考えればいんじゃない? 

そういう声もありそうですが、早期にイメージを持つことは勉強のモチベーション維持にもつながると思いませんか?会計士試験の合格率を少しでも上げる意味でも、是非、自身の会計士試験合格後のキャリアイメージを描いてみてください。

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