公認会計士は独学で合格できるほどあまくない
Q.学生ですが、時間があるため費用をかけず、難関資格に挑戦したいと思っています。そこで、公認会計士に挑戦しようと思うんですが、独学でテキスト等を手に入れるにはどうすればよいでしょうか?
A.そもそも独学で合格できません。
この質問も何度も受けてきました。そこで「独学では合格できませんよ」と答えると、「できるかできないかは聞いていません」と返す人もいました。なので、「できないのに独学で何を目指すんですか?」と私は聞き返します。
もちろん、各自の状況があるでしょう。学生にせよ、社会人にせよ、何らかの理由で「公認会計士」になりたいと思ったけれど、お金がない。だから独学で!という考えもわからなくはありません。
しかし、そういう考えの人は、もっと「公認会計士」について、「公認会計士試験」について調べましょう。どういうレベルの受験生で争われるのか、学習範囲、合格率や合格までにかかる平均年数、受験回数等。調べれば、どういう次元の試験か理解できるはずです。そして、理解できれば、決して「公認会計士を独学で合格」という言葉はでないはずです。
また、「市販されていないとしても中古でDVD教材を入手して・・・」という回答が稀にありますが、個人的には一番やってはいけないことだと考えます。その点も後述します。
もし、あなたが公認会計士試験は独学で挑戦できるかも?と少しでも考えたなら、是非、今回の記事をご覧いただき認識を改めてもらえればと思います。
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公認会計士試験の合格が独学では無理な理由
前述で少し触れましたが、改めて「公認会計士試験の合格が独学では無理な理由」を説明します。理由はいくつもありますが、代表的なものとして下記があります。
他の受験生は専門学校に通っている
ネットで検索すればわかると思いますが、まず「独学」でやろうと考える人はほとんどいません。つまり、専門学校に通うことが前提です。仮に自分は独学、他の受験生は専門学校で勉強となれば、その時点で、学習効率、学習内容の深度に大きな差が生じます。
↓仮に専門学校に通うとしてもその選び方は難しい。困ったらこちらの記事を
学習範囲がとてつもなく広い
上記の科目数を見ただけでもその範囲の広さがわかります。この範囲を独学どのように学習するというのでしょうか。仮にテキストがあったとしても、そのテキストのどの部分を優先的に学習すべきか、テキスト範囲外の重要論点のフォローはどのように把握すればよいのでしょうか。
合格率が低い
合格率(論文式試験合格者はおおよそ10%程度)が低いことは当然、独学で合格するための大きなハードルとなります(というか、致命的です)。なぜなら、公認会計士試験は、受験する大勢が学生か、無職専念で驚異的な学習時間を経た猛者達です。その猛者達からさらに10人に1人しか合格しないのがこの試験。この受験者層は大きなポイントになります。
他の試験でも同程度の合格率の試験はあります。ただ、受験者層が全く違います。働きながら勉強している人が受験者層の多くを占めるものもあるでしょう。その場合は、そもそも合格圏内ではない受験者がいるため、無職で独学であれば場合によっては可能性が見えるかもしれません。
しかし、公認会計士試験の場合は、そもそも受験者の大勢が合格圏内にひしめいているので、無職・独学により学習時間が多く確保できる等の点は全くアドバンテージになりません。
↓公認会計士試験の過去20年分合格率推移はこちら。合格率から見える本当の難易度。
合格までの平均年数は3年~、2回~3回以上
専門学校や合格体験記等、一般的に言われている情報ですが、私の体感としても同じです。これが何を意味するかですが、前段の「合格率が低い」と関連します。つまり、専門学校に通い、毎日10時間学習しても、10人に1人の合格率、それを続けても3年以上が当たり前、受験回数は2回・3回は覚悟が必要ということです。
学生や無職専念で専門学校に通って学習してもこの結果。独学ならどうなるかはわかると思います。
補足.中古のDVD、テキストを購入すればいいのでは?
独学がダメなら、中古で安くDVDを手に入れようという考えですが、これが最もやってはいけないことだと思います。理由は、「古い」につきます。法改正、会計基準の改正は大小様々ですが、毎年、発生するものです。その改正に対応できないリスクを冒す必要があるでしょうか。
また、人によっては「試験に関係する部分の改正はないので去年のままでも大丈夫」といった意見も見られます。それは本当でしょうか?
その人が試験委員で作問しているのであればそうでしょう。しかし、もしそうでなければどこが試験に出るかは当然、わかりません。仮に出た場合、その発言をした人が責任を取ってくれるのでしょうか。その1問が合否を分けたとしたら、どうでしょうか。
以上の理由から、特に法律系の試験において、中古の教材を使う選択肢は、個人的にはありえないと思います(日商簿記3級、2級であればそれほど気にしなくてもよいでしょうが、それでも私はオススメしません)。
公認会計士試験は独学で合格できないからやめとけ まとめ
いかがだったでしょうか。公認会計士試験に係わらずですが、資格試験の勉強をする時は「独学でできるかな?」とまずは考えるものです。試験によっては、市販テキストが充実していれば、そのも十分可能でしょう(私も日商簿記3級、2級は独学でした)。
しかし、試験によります。公認会計士試験において、「独学」での合格はありえません。私が知らない、会ったことがないだけかもしれませんが、それでも前述の考えから、合格できるとはとても言えないと考えます。
そうは言っても、時間はあるけどお金がない!
お金がないから独学しかない!
という方へ。考えを変えてみてください。お金はないけど時間があるなら、まずは、その時間でお金を貯めましょう。そして、貯まったら、受験のためにお金を使いましょう。もしかすると、お金が貯まる前に「公認会計士の挑戦はやっぱりいいかな」と考えが変わるかもしれません。それは、それだけの意思、目標だったということです。むしろ、挑戦しなくて良かったと考えるべきでしょう。
「すぐにでも勉強を始めたい」と思いがちですが、独学は明らかに遠回り。急がば回れ、しっかり計画を立てて合格を目指しましょう。
補足.会計士試験に独学した体験記を見かけるけど?
私自身はリアルで会ったことがないので本当か?という感じです。また、「答練は専門学校を利用」とか、「入門時は専門学校を利用し、2度目の受験では独学」等もあるようで、そもそも「独学の定義」も気になります。
とはいえ、ごく少数ですが存在はしているのでしょう。ただ、合格者がいる≠自分も合格できるとは、全く異なります。1万人の受験者で1人、独学で合格者がいた場合、「合格者はいる」のでしょう。しかし、その1人を目指すことが自分にとってベストかを考えるべきです。答えは明白ではないでしょうか。
*「会計士試験で最も必要なこと」等、その他の気になるQ&A集はこちらから
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