Q1.日商簿記1級ってそんなに難しいんですか?

現役会計士へのQ&A集
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日商簿記2級合格後に目指す日商簿記1級はとにかく難しい

Q.日商簿記2級に合格しました。そのまま1級を目指そうと思うんですが、難しいと聞きます。実際のところはどうなのでしょうか?また、独学で挑戦したいんですが無理でしょうか?

A.日商簿記2級合格から1級合格を目指す場合は難しい。独学か専門学校を利用するかは、どの程度合格したいかによる。


まず、この質問に対し、私は「日商簿記2級合格から1級合格を目指す場合」は難しいと答えています。その理由は大きく下記の2点です。

・範囲、内容、必要学習時間から合格圏内の知識まで持っていくことすら難しい
・合格率が低く、また、2級までと異なり相対評価の傾向があるため他者との競争になる

このあたりの詳細については、別途「日商簿記1級の合格率を徹底分析」の記事も合わせてご覧ください。いずれにしても、今回の私の回答ポイントは、「日商簿記2級合格から目指す」場合という点です。

日商簿記1級受験者層は、会計士や税理士受験生が多く含まれる

日商簿記1級は、普通の検定試験と異なり、日商簿記1級の学習範囲をはるかに超えた知識を有する会計士受験生、税理士受験生が「腕試し」で受験する傾向があります。特に会計士受験生は、受験者の大多数が無職や大学生でほぼ学習に専念できる状況にあります。そのような者が「腕試し」で受験し、10%弱の合格を奪っていくわけです。

結果、「日商簿記2級から1級に合格」する人は、10%弱の合格枠から会計士や税理士受験生が合格した後の残り枠を争うこととなるため、実質合格率は10%よりもさらに低くなり、非常に難しいこととなります。

以上が「日商簿記2級合格から1級を目指す場合」に合格は極めて難しい理由となります。

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日商簿記1級合格者イメージ 作成:CPA-MAP

私が日商簿記1級を実際に受験した時の感覚

私は会計士試験学習中に日商簿記1級を受験しまいた。その際は、商業簿記・会計学は制限時間1.5Hのところ1H程で終了、工業簿記・原価計算は制限時間1.5Hのところ45分程で終了といった感じでした。他にも会計士の受験仲間が受けましたが、同じような感じで、みな、合格していました。このことからも、「会計士受験生が1級を受験」する場合は、「簡単」と言えるでしょう。

会計士受験生が日商簿記1級を受ける時の対策

過去問を直前に見る程度(解く必要はなく、問題傾向を見る)で十分かと思います。内容は会計士講座の基礎答練レベルとわかります。私の受験時代は、人によって全く対策なしで受験する人もいました。それでも、十分合格可能、それが会計士講座をしっかり学習してきた人のレベルです(なお、5月短答目標の前年、11月時点の習熟度想定。あくまでイメージであり、カリキュラム進捗に応じます)。

日商簿記1級と就職の評価

日商簿記1級合格に必要なコスト、労力に比して就職や転職時における評価は「低い」と感じます。

理由の一つは「日商簿記1級を知っている人、受験した人、合格した人が少ない」ことでしょう。会計士や税理士はそもそも国家資格として「難関」というイメージが既に出来上がっていますが、日商簿記1級はそうではありません。一般的には、日商簿記1級は「2級より難しいんだろうけど、どのくらい難しいかはよくわからい」というのが大勢でしょう。もちろん、前述の受験者層からくる難易度なんて知る由もありません。「わかる人にしかわからない」が、日商簿記1級の評価です。

そのため、「日商簿記1級合格」と「就職・転職」の大成功を過度にリンクさせることはおすすめしないのが私の見解です(私見)。

独学か専門学校利用かは、「合格」したい度合による

会計士や税理士については市販のテキストがほぼなく、専門学校一択になります。一方で、日商簿記1級は、市販のテキスト、問題集も比較的充実しているため独学で目指すケースもあるでしょう。また、独学で合格したという話も稀に聞きます(私がリアルで知っているのは二人)。そのため、独学での挑戦が無理か否かと問われれば、可能とお答えします。

しかし、当たり前ですが、早く、かつ合格の確率を少しでも上げたいなら専門学校利用ということは言うまでもありません。専門学校を利用しなくとも早期合格できるなら、専門学校の存在意義がないですからね。

独学の場合は、お金は安く済むが、合格可能性が低く、時間・複数回受験の覚悟が必要です。もしくは、まずは日商簿記1級がどのくらいのレベルかを知る意味で、気軽に始めるなら独学でしょう。ただ、合格可能性が低いことは言うまでもありません。その意味で、独学か専門学校利用かは「合格」したい度合によるということです。

参考.専門学校のご紹介(2022年8月時点の情報)

お金がかかるという点で敷居は上がりますが、どうしても合格したいなら、少しでも合格確率を上げたいなら、専門学校の利用をオススメです。基本、インプットとアウトプットに分かれ、答練、公開模試までがセットになっています。気になる方は、まずは資料請求で調べることから始めましょう。


通学も通信もDVDも多彩なコース選択が魅力|資格の大原

講義は全65回ですが、答練が13回含まれているのでインプットは実質52回。授業は150分×52回=『130時間』想定。今回紹介する中では最もインプット時間が少ない設定ですね。私は会計士試験でお世話になりましたが、簿記の強さはやはり特筆すべきでしょう。時間当たり単価は少し高め。
(参考)2023年6月目標
Web通信 165,000円 
@1,269円/授業1時間当たり


日商簿記1級ストレートフルパック|クレアール簿記検定講座

検定目標月+1年間の保証制度があり、検定月から1年間はWeb講義が受講できるという特徴があります。インプットは『160時間』想定。クレアール=非常識勉強法で超効率的勉強のイメージですが、日商簿記1級のインプット想定時間を見る限り、着実なカリキュラムの印象。アウトプットの答練は20回がセットになっています。定期的に割引があるようですが、割引後の単価は他の追随を許さない安さ。
(参考)2023年6月目標
Web通信 145,000円/95,700円
8月割引:@598円/授業1時間当たり


1級パーフェクトコース|LEC東京リーガルマインド

講義は初学者向けの66回と既学習者向けの40回の選択というのが特徴。アウトプットの答練は、全11回の構成です。初学者向けなら、授業150分×66回=『165時間』想定。今回紹介した学校の中では一番、インプットが厚いようです。
(参考)2022年11月目標
Web通信 132,000円 
@800円/授業1時間当たり

日商簿記1級を目指す方へ まとめ


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本当にこの質問はよく受けてきましたし、今でも聞かれます。やはり、日商簿記2級まで合格すると、更に高みを目指したい、もしくは日商簿記3級、2級を一発合格できたから、1級も挑戦だ!という気持ちの方が多いのでしょう。その一方で合格率も10%前後、とにかく「難しい」と聞くので、実際のところを知りたいという気持ちもわかります。

個人的見解ですが、前述のとおり日商簿記1級は日商簿記2級から合格を目指す場合、とにかく難しい試験です。そのため、気軽に挑戦することはオススメしません。何らかの理由、もしくは自分自身の挑戦等で何としても合格を目指すなら、専門学校を利用し、働きながらでも効率的な学習で合格を目指すことがよいでしょう。

実質、相対評価の試験だと思いますが、決して合格できない試験ではありません。挑戦すると決めたなら、是非、最後までやり抜いてみてください。そして、いつも言っていますが、合格したら思いっきり自慢しましょう。

★日商簿記1級の過去20年合格率推移分析はこちらから
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