公認会計士になるにはどうすればよいか
書籍、テレビ、ネット、知人、他の人からのススメ等、何らかの理由で「公認会計士になりたい」と思った人が次に考えること、それは「どうすれば公認会計士になれるか?」です。調べればいろいろすぐに出てきますが、直近で実務経験等は条件が変わっています(22年8月時点で施行はまだですが)。
そのあたりの更新情報とともに今回は、公認会計士になるための方法、道のりについて実体験をふまえお伝えしたいと思います。
公認会計士になるには試験に合格するだけではダメ
まず最初に知ってもらいたいことは、一般的に言われる会計士試験合格=会計士論文式試験合格であるということです。会計士試験の勉強を始めた人は当然、知っていることですが、会計士論文式試験合格と、法的な「公認会計士」とは異なります。以下、「公認会計士」までの道のりです。
日本公認会計士協会(JICPA)HPからの抜粋となります。ざっくり言うと、試験の合格(短答+論文)+業務補助(実務経験)+実務補習(補習所通学)+修了考査合格+登録=公認会計士となります。論文式試験合格≠会計士であり、道のりは容易ならざるものであることがわかります。
公認会計士になるまでのポイント詳説
ここからはポイントごとにもう少し詳しくご紹介します。
まずは「短答式試験」を合格する必要あり
旧制度では必要でしたが、現在は受験資格不要。誰でも挑戦可能です。現行制度では12月と5月の年2回実施です。
短答式試験(マーク式試験)と聞くと、「運」の要素もあるためにもしかするとラッキーで合格できるかも?と考える人がいるかもしれません。しかし、実態はその逆です。マーク式試験は解答過程が評価されない(=部分点がない)試験のため、言い方を変えると実力全てが正確に評価されない試験であり、思っている以上にハードルが高く、非常に厳しい試験です。
↓短答式試験(マーク式試験)の恐ろしさはこちらから
続いて短答式試験合格者による「論文式試験」
こちらは旧制度同様、年一回、8月に実施されます。短答式試験合格者で競う、会計士試験本当の戦いがこの「論文式試験」です。
現行制度では科目免除制があるため、旧制度に比べると戦略的に最終合格を目指す(複数年で科目毎合格を目指す)ことも可能です。ただし、注書きのとおり、短答式試験合格年、その翌年及び翌々年で全ての科目に合格出来なければ、再び、短答式試験に合格する必要があります。
これは、中途半端に論文の科目合格してしまうと、最終合格まで辞めたいのに辞められないループへと受験生を誘います。一見、合格者を増やす受験生に優しい制度に見えますが、実は蟻地獄ではないか?と。むしろ、旧試験制度の一発一括合格の方が良かった気が・・・。
業務補助等(=実務経験とよく言われる)
監査法人以外の経験も内容によっては経験年数にカウントされますが、要要件確認です。一方で、監査法人勤務で監査実務に従事しているのであれば、基本は業務補助に該当します。
働きながら実務補習を行う場合、補習所修了(3年後)時点で業務補助要件も満たすのが通常でしょう。なお、2022年5月11日に会計士法の改正案が可決・成立しています。業務補助等の実務経験期間延長(2年⇒3年)は受験生に直接影響しますが、前述のとおり、補習所修了が3年なので、働きながら補習所に通学していればこの改正を特に気にする必要はなさそうです(ご参考:法案に関する会計士協会会長声明はこちら)
なお、業務補助等の要件は、合格前もカウントされるため、それに合わせて実務補習所の修了年限短縮も可能です。その場合は注意が必要なので該当者はしっかり調べてみてください(個別審査あり)。社会人受験生はこの可能性があります。
4.実務補習(=補習所通学)
前述の修了年限短縮を除けば、3年間、会計教育研修機構実施の補習所へ通学し学びます。どのように学ぶかですが、ただ受動的に聞くだけというよりも大学のイメージに近いでしょうか。仕事終わりに通学し、授業を聞いて、単位を取得、定期的に試験を受け、最後は卒業試験を受けるイメージです。内容自体はそれほど難しいものではないですが、働きながら授業を受ける、試験を受ける大変さがあります。また、監査法人以外の勤務なら、補習所通学に理解が得られないケースもあり、大変だったりします。
確か、グループ分けがされていて、何かあればそのグループ内で集まる、討議するみたいなのがあった気がします。他、泊まり込みの合宿とかもあった気がしますが、昔の話なので参考程度に。
なお、前述のとおり、業務補助要件と合わせて修了年限短縮が可能です。
修了考査(実は地獄of地獄)
実務補習の最後に受ける卒業試験のようなものです。合格率は、6割~7割程度でしょうか。
これを聞くと、論文式試験に比べれば楽なもの!と思いがちですが、これは大間違いです。理由はいろいろありますが、下記がポイントです。
・試験のために休暇が認められている監査法人と特にない一般事業会社の待遇差
・働きながらの試験勉強
・合格率はともかく、そもそも受験者層は全員「論文式試験合格者」
このあたりでしょうか。
別の記事でも書いていますが、監査法人では、試験前に休暇が認められています。法人や事業部によっては一か月くらい取得できるケースも。逆に仕事を任せられ過ぎると試験勉強ができないなんてケースもありますが。また、働きながらの試験勉強というのも大変です。ただ、これは他の受験生も基本、同じですね。
そして一番恐ろしいのは3点目。合格率自体は低くないですが、問題は受験者層です。全員、狂人の祭りである会計士論文式試験を突破しています。その中でさらに3割~4割が不合格になるわけです。しかも、監査法人では、先輩達は、6割~7割合格だから、合格して当たり前的な風潮があります。ゆえに「合格して当たり前」というプレッシャーがすごいです。さらに、もし不合格だった場合、来年、再度受験すればよいのですが、後輩達と受験することになります。このプレッシャーもあるでしょう。しかも、2度目の受験だと、試験休暇を減らされるケースが普通です。後になればなるほど条件が悪くなる、しかし合格しなければいけない・・・まさに最後の砦と言えます。
論文式試験を突破したのに、まだ地獄が待っているという事実。ひどい試験ですね・・・。
公認会計士登録(やっとここまで・・・)
ここまでくればあとは会計士登録のみです。必要資料がそこそこありますが、これまでの道のりを考えれば、大したことはないでしょう。なお、登録すると「会費」が発生しますが、これがなかなかボディブローのように効いてきます。監査法人勤務の場合は、会社負担なので気にする必要はありませんが。
以上となります。記事にしただけでもかなり遠い道のりですね。
公認会計士になる方法 まとめ
いかがだったでしょうか。とりあえず知っていただきたいのは、一般的に会計士試験合格=論文式試験合格であり、法的な公認会計士ではないということと、登録をした状態でなければ、公認会計士と名乗れないところでしょうか。
ちなみに、私も現在は監査をしていませんが、毎年、会費を納付している会計士協会会員なので、「公認会計士」と名乗っています。
これで「公認会計士」のイメージが掴めたら、改めて、「公認会計士」への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか?
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