会計士論文式試験合格者の就職先を考える
さて、前回の記事で公認会計士の仕事内容について、リアルな情報をお届けしましたがご覧いただいたでしょうか。今回は、そんな仕事内容をふまえ、会計士試験合格後の就職先、キャリアプランをご紹介します。
実際の業務内容や補習所・修了考査への対応、給与・収入面についても一挙公開!「失敗しない会計士の就職、転職」を実現するために、是非、ご覧ください。
↓まだご覧になっていない方は、下記の記事もご覧ください。
会計士試験に合格したら監査法人!そんなことを考えている人も多いでしょう。実際、最終目標が公認会計士であれば、論文式試験合格者にとって実務経験や補習所通いに融通が効く監査法人は魅力的です。
注)会計士論文式試験合格≠公認会計士。論文式試験合格後に、実務経験+補習所の単位を取得し、最後に修了考査を合格しなければ、公認会計士登録はできない。
一方で、論文式試験合格後にそのまま一般企業へ就職というケースも近年はよく聞きます。この辺り、私の実体験と同期や諸先輩から聞いた話をふまえ、ご紹介したいと思います。記事を読んでいただければ、きっと合格後のキャリアプラン、キャリアパスについてイメージをより具体的に持てることでしょう。
*なお、記事のボリュームが多いため、2回に分けてご紹介します。
会計士試験に合格したらどこに就職するか
会計士としてのキャリアのスタート。ここでどの会社を選ぶかは、その後の会計士人生に大きく影響します。もちろん、後で修正もできますが、ここでの選択をしっかりできれば、ここから5年、10年後のやりたい仕事にスムーズにつながることできます。
そのため、会計士のキャリアで遠回りをしないために、まずは会計士試験合格後、5年、10年後に何をしたいかを決めた上で、合格後の就職先イメージを持つことを心掛けましょう。
5年、10年後のキャリアプランを持つ
それではまず、5、10年後に何をしたいかイメージを持ちます。
かなり先のことなんですが・・・
そうかもしれませんが、ここではふわっとで構いません。そのふわっとでも案外、道筋は決まります。
では、どういう選択肢があるか。既に決まっている方は構いませんが、まだという方は下記を参考にしてみてください(参照:公認会計士の資格を知る!より)
2.コンサルを目指す
3.会計事務所を独立開業
4.事業会社で企業内会計士として活躍
5.起業
どうでしょうか。自分がなりたいキャリアはふわっと決まりましたか?いまいちわからないという方は、改めて、こちらの記事も参考にイメージを膨らませてみてください。
5年、10年後の公認会計士キャリアを実現するために
それでは、5年後、10年後の姿を実現するために、会計士試験合格後にどのようなキャリアを選ぶべきか、ご紹介したいと思います。以下、5年後、10年後のキャリアイメージパターン別となります。
*ボリュームが多いため、ここでは1.監査をそのまま続ける、2.コンサルを目指す、について記載。
会計士試験合格後のキャリア 監査法人を続ける
会計士試験合格後、監査法人で働き続けるパターン 作成:CPA-MAP
難易度
★★☆☆☆/ただし、就職市場の環境は変動しやすい
概要.
会計士試験後は9割以上、監査法人への就職でしょうか。しかし、10年後を見ると体感として3割くらいしか残っていない印象。就職環境は、近年、合格したら主に大手監査法人がその受け皿になりますが、トピック(コロナや将来的には四半期開示の廃止等か)によって売手買手市場が大きく変化するため注意は必要。
監査法人で働き続けるなら、少しでも早く合格し、まずは大手監査法人に就職したいところ。理由は、中小監査法人は、大手で経験を積んだ後なら、比較的転職が容易なため。また、もし合格時点で将来のキャリアプランが固まらない方は、数年後のキャリアの選択肢を増やすために、まずは監査法人に就職するのがおすすめ。
監査法人で働く場合の給与イメージ 作成:CPA-MAP
給与・報酬.
入社したら年収500万~600万あたりでスタート
BIG4の大手監査法人から、中小法人まで多数あるが、給与面では大手と中小でそれほど変わらない印象。法人によって呼称は多少異なるが、概ね入社後は、スタッフ→シニア→マネジャー→シニアマネジャー→パートナーという役職を経る。
年齢は関係なく、入社したら横並びで給与はスタート。一般事業会社の新卒と比較すれば、圧倒的に給与水準は高い。なお、近年、特に大手法人はワークライフバランスに厳しいため残業代の伸びが少ない印象(時間になると強制的にネットワークが切断される等)。
*もう10数年前、私が監査法人にいた頃は、チーム全体が徹夜した時も。その頃は、4年目あたり・シニアで年収は1,000万超。今はそこまでいかないか)
特徴等.
会計士といえばやはり監査。徹底的に経験できるのは監査法人しかありません。また、会計士試験合格後は、仕事終わりや土日の補習所通い、修了考査へ向けての勉強がありますが、そこを考慮したアサインを組んでくれるのも助かります。大手法人であれば、修了考査前に長期の試験休暇が付与されるケースもあり、公認会計士登録への最短距離となるのは魅力。
その後、監査法人で働き続けるかは、「監査」が好きかどうか次第。監査といっても、大手もあれば中小法人のクライアントもあり、海外上場をあればIPO、公益法人等もあります。監査の枠内でも様々な事業分野を経験でき、また、報酬も一般企業よりは高いため、実は監査法人で働き続けるという選択もキャリアとして十分に魅力があります。ただし、問題があった場合の責任の大きさという点は、リスクあり。
なお、パートナーからは「営業」があります。監査クライアントの契約を取得する業務です。一般事業会社であれば、新卒がガンガン営業させられるんですが、監査法人はそこが異なります。もちろん、通常の営業とは異なりますが。
会計士試験合格後のキャリア コンサルを目指す
会計士試験合格後、コンサルファームを目指すパターン 作成:CPA-MAP
難易度
合格後すぐ/★★★★☆
監査法人から転職/★★★☆☆
概要.
会計士ではなくとも、「コンサル」という響きに惹かれる人は多い印象。ただ、「コンサル」という言葉を使っていても、実際は「営業」をさせられる会社が大多数。なお、ここでのコンサルは、本来の「コンサル」(戦略系や会計系のファーム)を指します。
会計士試験合格後、そのままコンサルティングファームへ就職するケースもゼロではありませんが、その場合は、在学中合格+学歴もある程度求められるかと。
一方で、監査法人でシニア(主査の経験)まで経験した後であれば、周りの同期、先輩を見る限り、転職しやすいイメージ。なお、その転職先は、戦略系(ボスコン、マッキンゼー)ではなく、会計系(アクセンチュア、PWC、DTC、KPMG、アビーム)と考えた方がよい。
また、合格した年齢にもよりますが、監査法人経由→公認会計士登録→コンサルルートの方が自分が目指すファームに入りやすいかも。
会計系コンサルファームで働く場合の給与イメージ 作成:CPA-MAP
給与・報酬.
入社したら年収500万~600万あたりでスタート
アクセンチュア等の会計系コンサルの場合、こちらも監査法人就職パターンと近しいか、もしくは少し給与水準が高い。会社によって異なりますが、アナリスト→シニアアナリスト→コンサルタント→マネジャー→シニアマネジャー→マネジングディレクターのような役職を経る。
年齢は関係なく、入社したら横並びで給与はスタート。監査法人同様、こちらも一般事業会社の新卒と比較すれば、圧倒的に給与水準は高い。ただし、実力主義の風土が監査法人よりも強い印象。そのため、昇格スピードに差がつきやすいく、結果として給与水準も入社数年で差が出てくる。
特徴等.
会計系のコンサルファームだったとしても、監査とは多かれ少なかれ異なる職域。そのため、会計士の論文式試験合格のみで就職したとしても、他の入社したメンバーより優位であるとは考えない方がいいでしょう。
また、会計士試験合格後の第一目標になる修了考査合格ですが、監査法人と違い、補習所や修了考査のためのフォローは期待薄。自らがアサインされた業務をコントロールし時間を作るしかありません。
業務はアサインされるPJ次第。ただ、監査法人より激務の印象。それに見合った報酬も期待できるが、あとは体力勝負。監査法人での業務以上にキャッチアップしていくことは大変。
なお、私の同期は2年程度、先輩は5年程度でコンサルからさらに転職しています。いずれも監査法人→コンサル転職ルートです。大変なものの、得る経験はそれ以上。コンサルで働き続けるというより、さらにその経験を生かして別のキャリアというパターンが多いかも。
会計士論文式試験合格後の進路・キャリア まとめ
いかがだったでしょうか?
・まずは、会計士試験合格後5年、10年後のキャリアイメージを持ち
・そのイメージにたどり着くための合格後のキャリアプランを描く
の2点、是非、実践してみてください。続きのキャリアパターンについては次回の記事で。
↓企業内会計士として活躍するにはどうしたらいいか?気になる方はこちら
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