未経験から経理へ転職する方法|必要なスキル

現役会計士へのQ&A集
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未経験から経理をしたい!どうすれば

「未経験だけど経理に転職したい」という声をよく聞きます。そして、必ず「簿記2級があれば!」と言われますが、それは事実ではありません。現実問題として「簿記2級」だけで未経験から経理への転職を目指すことは非常に難しいものであり、安易に転職活動することはオススメしません。

そのため、この記事では、①まず、未経験から経理への転職が難しい理由を知り、②その上で対策を打ち(自分だけの志望動機も考える)、③転職活動することをオススメします。

それでは、早速「未経験から経理に転職する方法」について、ご覧ください。転職を考えられている方へ、少しでも参考になれば幸いです。

未経験から経理へ転職できるのか?

いきなりですが、そもそも論のお話です。
・営業をやっていたけど、どうしても対面が苦手、営業職は合わない
・内勤の事務職希望。経理なら希望どおりかも

など、いろいろ理由はあるかと思います。

それでは、実際に転職できるのか?ですが、できるか否かで答えるならできます。ただ、そのハードルはとてつもなく高いと考えるべきです。「それくらいわかっている!」という方もいると思いますが、おそらく、想像している以上に難しいです。そのため、安易な気持ちで挑戦するのは危険です。

ということで、まずは「なぜ、経理への転職が難しいのか」、その理由を知りましょう。

未経験から経理への転職が難しい理由

未経験から経理職への転職が難しい理由について、個人的見解をお伝えします。なお、この理由は、「企業規模」によって異なると考えるので、場合分けの上、お答えしたいと思います。

中小企業の場合(経理が2,3名程度~5名未満、総務や人事を兼務することも)

・そもそも人不足。経理等の間接部門の教育に時間をかけられないので即戦力が欲しい(採用コストを抑えたい
・中小企業では、経理のみというより人事、総務等、他の業務も任せたい(なおさら、経理の教育に時間をかけられない
・資金繰りに直結。一つのミスで会社がつぶれるリスク=重要なポジション
・現預金を扱うケースでは、不正リスクも高く、信頼性の高い人材が欲しい

大企業の場合(経理5名~、経理が独立の部門。会社法上の大会社や上場企業等も)

・人員数は比較的多いので時間的に教育を行う余裕はある(ただ、時間的に余裕があるなら、まずは既存社員の配置転換等の内製を考える
・即戦力が欲しければ会計士等の経験者をキャリア採用
・会計上の決算、税務申告等の対応も求められる。特に監査法人対応のニーズは高い。


ざっと記載しましたがこのような感じです。特徴として、中小企業の場合は、何より人不足でしょう。そのため、経理を知らない人材を採用し教育に時間を要するくらいなら、経験者を採用したいはずです。一方で、大企業の場合は、企業によるものの、引継ぎ時のマニュアル等が整備され、教育体制もしっかりしているところが多くあります。

未経験から経理を目指すならむしろ大企業?

そんな声が聞こえてきそうですが、企業からすると、わざわざ外部から経理の素人を採用するくらいなら、既存社員の配置転換により、人員を内製した方が手間が省けますね。もしくは、即戦力が欲しいなら、経験者を採用するというわけです。

こう考えると、いずれの企業規模にせよ、企業側からすると、未経験で経理の仕事をしたい人を積極的に採用する理由がないわけです。そのため、相当ハードルが高くなるといえます。

未経験から経理へ転職するために必要なこと

経理に転職が大変なのはわかったけど、じゃ、諦める?

こう考えてしまいそうです。しかし、確実ではありませんが、未経験から経理の仕事を行う可能性を少しずつでも高めることは可能です。

それでは、何をすればよいかですが、前述の「ハードルが高い」理由を思い出してください。結局、これが企業側が採用する際に、経理未経験者を敬遠する理由なので、その理由をつぶす努力をすればよいということになります。もちろんつぶすことができない理由もありますが、以下のようなイメージです。

“採用されない理由をつぶす”
1.採用コストを抑えたい
⇒「正社員」の雇用形態にこだわらない
2.経理の教育等に時間をかけられない
⇒少なくとも机上における経理の知識は十分に持っていることを示す(日商簿記2級以上)
3.経理以外の業務も任せたい
⇒簿記以外の知識もつける。パソコンのスキルは必須、エクセルは自由に使いこなせる等の対応能力の高さを示す

一点目は、非常に大きなポイントです。「正社員」というのは、生活基盤を考えても希望する人が多いでしょう。しかし、未経験からは本当にハードル、競争率が高くなります。そこで、まずは「経験」を積むことに注力する選択肢です。一度、「経験」してしまえば、再度の転職時は「未経験」という高いハードルが一つ、なくなりますからね。

また、実務経験がないというマイナスは、それを覆しプラス評価になるようなスキルを示せばよいでしょう。こう考えると、すぐに頭に浮かぶのは、「日商簿記2級」です。ただ、経験者でも日商簿記2級は保有しているケースは多々あります(経理に従事する人、目指す人は日商簿記2級をかなりの割合で保有している)。そのため、なかなか差にならないのが実情です。

そこで、それ以外のプラスα、「パソコンのスキル」や「英語のスキル」「英語以外の外国語スキル」によって、経理経験者に負けないアピールをすることも一つの方法ではないでしょうか。パソコンなら、エクセルのピボット~マクロまで使いこなせる、ワード・パワポの資料作成は一通りできる等もポイントです。また、外国語なら、英語のハイスコア、もしくは企業によっては「中国語」等の言語が武器になるのではないでしょうか。

いずれにしても、お伝えしたいのは、「柔軟に選択肢を考える(正社員という縛りを外せないか?)」「日商簿記2級で止まらない、満足しない」ということです。

未経験から経理へ転職する時の志望動機

転職をする時、必ず聞かれる「志望動機」。しかも、これが「未経験」からの転職となると、これまでの経験をつなげて「志望動機」にすることが難しいため、非常に悩むところです。

これについて、あくまで前提は「自分の転職、自分で考える」です。なぜなら、ネットで調べた「志望動機」は、自身の経験、行動の裏付けがないからです。そして、経験、行動の裏付けがないと、面接で突っ込まれた時に対応できないからです。まず、そのことを念頭におきましょう。

その上で、個人的に考えられる汎用的な「志望動機」の骨組みをご紹介します。もちろん、この内容をそのまま使用しても、前述のとおり効果は薄いでしょう。大事なのは、ご自身の経験を重ねることです。ありきたりな「志望動機」であっても、そこに「自分だけの経験」を重ねることで、「自分だけの志望動機」になります。その点、是非、意識してください。

志望動機|簿記の資格に合格、その知識を生かしたい

「学んだことを生かしたい」という当然の気持ちを志望動機に含めます。ここまではよく聞く話でしょう。そして、さらに言うなら、「なぜ、学ぼうと思ったか」を明確にすることです。ここは、他の人と違いが出るところ。例えば、「ニュースで企業の破綻の話を見て、数字の大切さを感じ、簿記を学んで3級、2級と働きながらxxヵ月で合格しました」みたいイメージです。どういうきっかけで、何を想い、目指したのか。とにかく、「自分だけの志望動機にする」ことがポイントです。

志望動機|簿記を学び、計数管理や経営数値に興味を持った

志望動機|机上で学んだ知識を実務で実践してみたいと考えた

「簿記を学んだので実務で生かしたい」という当たり前が故に他の転職者とも被りやすい志望動機です。そこで、さらに先、「学んだことを”どう生かしたい”のか」を明確にしましょう。

簿記の知識を生かした計数管理は多岐に渡ります。決算書作成なのか、原価管理なのか、収支分析なのかetc…。もちろん、採用企業側で求める人材、業務内容にもよりますが、一歩先、「どう生かしたいのか」について、より具体的なイメージを持つことが大事です。

志望動機|細かいところに意識がいく、作業を正確にこなすことが得意

「適正」の話です。当たり前ですが、作業をじっくり、正確に行うことが求められます。ルーティンワークになることも多いでしょう。そうした「業務」を続けられる性格であることは必要です。この内容に関連する「自分の経験」を重ねることはアピールポイントになるでしょう。ただ、企業によっては適性検査を実施するケースもあるので、その場合は検査結果が重視されるかと思います。

志望動機|経理はもちろん、税務、財務等、幅広い分野に興味がある

これは、採用企業側が求める人材要件に寄せる志望動機です。「経理」と言っても、業務内容は様々です。「日次の伝票起票」「経理、出納、請求」「決算書作成」「税務申告」等。当然ですが、「日次の起票業務」だけして欲しい企業で「税務申告を経験したい」と言ってもミスマッチになります。相手を見た志望動機を作成することも大事。


このあたりでしょうか。繰り返しですが、「志望動機は自分で作る」「自分の経験を重ねる」「相手(=採用側企業)に合わせる」の3点、意識してみてください。


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未経験から経理に転職するために必要なこと まとめ

“未経験から経理を目指すには?”
・「日商簿記2級」だけではどうにもならないことが多い
・「未経験可」でも他に経験者がいれば、普通は経験者が選ばれる
⇒めちゃくちゃハードルが高い転職活動になる
・「正社員」にこだわらず、まず「経験」を積むことに注力
・「簿記」に加えて、プラスのスキルを持つ
・「ありきたりな志望動機」に「自分の経験」を重ねて「自分だけの志望動機」に
・あとは辛抱強く活動を。

いかがだったでしょうか。話を聞くと「日商簿記2級を取れば、ま、何とかなるか」という感じで動いている人が結構、多いように感じます。しかし、未経験から経理への転職は、想像の一回り、二回り上のハードルの高さがあります。その難易度を認識した上で、本当に目指すべきかも含め、しっかり準備をして、挑戦することをオススメします。

*具体的な経理実務を企業規模別にご紹介した記事はこちら

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