計算科目を制すれば会計士試験を制する
いよいよ今回は会計士試験で避けて通れない、簿記、管理会計、租税、統計学、経済学、経営学等の『計算科目』の効率的勉強法についてご紹介します。
計算科目の勉強はそれほどパターンがないように思われます。要は「問題を繰り返し、ひたすら解き続ける」という方法です。しかし、この方法を続けるだけでは、普通の人が短期間で会計士試験に合格することは難しいと考えます。それではどんな方法がよいのか・・・それは「計算パターンの習得」と「それをアウトプットする練習」の2つで復習する方法です。
この勉強法は、会計士の計算科目はもちろん、日商簿記や税理士試験の計算科目にも役立ちます。是非、計算科目が苦手という方はご覧いただき、得意科目とまでは言わずとも、苦手科目からの脱却を図るきっかけにしていただければと思います。
それでは、会計士勉強法・計算科目編スタートです。
計算科目の勉強法|計算だってチャートで解決!
計算科目の復習と言われれば、どのような方法が思い浮かぶでしょうか。受験時代、よく見かけたのは、問題用紙を何部かコピー→試験のつもりで時間を計って解く、再び問題用紙をコピー→時間を計って・・・これを繰り返す復習法です。
もちろん私もこの方法を採用していました。しかし、「みなさんも、是非、この方法で・・・」というつもりはありません。この方法も間違っていません。本試験の感覚を養う上でも必要ですね。ただ、計算科目の苦手意識をなくす、得意科目へのきっかけにするには、この方法だけでは不十分ということです。
計算科目の復習だから、計算の数を解けばいいんじゃないの?
もし、そういう考えの人や、今現在、盲目的にそうしている人は、合格してもせいぜい日商簿記2級までだと思っています。そのくらい、『計算の復習=計算の数をただこなす』だけというのは正しくないということです。では、どうすればよいのか。私は、『計算科目と同様、チャート化で解決』と考えています。
計算科目の得点を上げるために必要なこと
計算科目の得点を上げるために必要なこと、それは、『計算パターンを増やす』です。こう言うと『理解は?』となりそうですが、もちろん、なぜその計算を行うのか、計算の過程を経るのかを『理解をしている』ことが大前提です。その理解の上で、問題を見た時に、すぐに頭から必要な計算パターンを引き出せるようにすることがポイントです。
そのために、まずは『計算パターンの定着』が先決事項になりますが、その最も効果的な方法として『チャート化』により計算パターンを増やすことをお勧めします。
計算パターンをチャート化し習得する
以前、『会計士理論科目の必殺勉強法』として『ストーリーによるチャート化』をご紹介しました。理論科目は、ある程度『ストーリー』が描きやすかったのではないでしょうか。しかし、『計算科目』となると、チャートって言われてもどう作っていいかピンとこないという声をよく聞きます。
計算過程ってストーリーないよね?
なかなかきれいなチャートにならない
ただ、そんなことは気にする必要はありません。目的は、人に見せることではありません。あくまで『数多くの計算パターン定着』です。計算パターンのストックをいかに効率よく増やすかが目的です。ストーリーが浮かばないならストーリはなくてもいいじゃないですか。
簿記にせよ、管理会計にせよ、租税法にせよ、論点毎で解答を出すためにどういう条件を収集し、どういう計算を経るかという計算パターンがあります。それを定着しゃすいように、チャートにすればいいだけです。
例えば、「連結」であれば、すべきこととして、開始仕訳、資本連結、内部取引消去、内部債権債務消去、未実現損益、受配消去、持分法、在外、サブ連とテーマがあります。さらに資本連結なら、連結開始日等の条件確認、持分比率、評価、のれん算出…と計算過程、計算手順をチャートへ展開していけばいいだけの話です。
租税法なんかは、各項目で計算パターンがはっきり分かれているので、チャートにしやすいですね。殴り書きですが、租税法のチャートをご紹介します(当時のものなので内容が古い点はご了承ください)
一言で計算と言っても、論点はたくさんありますよね。それをどの項目を大項目に据えて、他の論点を紐づけながら、網羅的に一つのチャートにまとめるかがポイントです。また、理論科目のチャート化でも触れましたが、吹き出しやマーカーを使い、視覚的にも印象に残るように作成するのも効果的かと思います。
なお、私の場合は、数秒で回す場合→ピンクの枠のみチャートをなぞり後続はチラ見で流す、少し時間を取って回す場合→チャート全体をなぞる、声を出さずに復唱する、時間を取って回す場合→書き出す、といった使い方でした。
理論科目との違いは、チャートの中に『計算式』を散りばめるということでしょうか。ストーリー要素はなかなか組み込みにくいですが、チャートにしてしまえば、流れで計算パターンが意外に定着するのがわかると思います。
もちろん、一度、チャートを作成したからといってすぐに定着はしないでしょう。そのために、以前ご紹介したチャートを頭に定着させる方法も合わせて実践してください。これで、このブログでいう『精読』(チャート作成による頭の整理)と『速読』(チャートパターンを頭に叩き込む)が完成です。
計算パターンを自在に使いこなす
一度作成したチャートを繰り返し復習することで「頭の中に計算パターン」としてストックされていきます。このストック量が多ければ多いほど、試験では広範囲で対応可能になるわけです(=計算パターンが習得できた状態)。
ただ、広範囲で対応できる武器をたくさん保有しているだけでは・・・不十分です。やはり「必要な時に必要な武器をすぐに取り出す」ことが必要です。そこで大事なのが「問題演習」です。つまり、実践形式で習得した計算パターンを引き出す、自在に扱える練習を行うということです。
問題を見て、必要な計算パターンを浮かべ、それを使って実際に解く。この繰り返しをすることで、「ストックした計算パターンを自在に使える」ようになるはずです!
会計士の計算科目をチャート化で苦手科目から脱却! まとめ
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いかがだったでしょうか。計算科目をチャート化?と思ったかもしれませんが、実は非常に有用です。結局、理論科目と同じで、論点毎の計算パターンをどれだけ頭に入れているか、そしてそれを問題を見た時にどれだけ素早く引っ張り出せるかがポイントというわけです。
答練で『初見』と思った問題。解答を見ると既存の知識で解答できた!というケースありませんか。それは、まさに『計算パターン』が頭に定着しておらず、『論点を見た時に引っ張り出せていない』からです。
どうしても多くの方は、『計算パターンのストックを増やす』という過程をピンポイントで学ばず、すぐ『計算問題をひたすら回転』させることにこだわります。もちろん、計算問題を回転させることでも、計算パターンは蓄積されます。ただ、それでは計算パターンだけを見直すことができず=回転数を上げることができず、記憶の定着に結局は時間がかかります。受験までの限られた時間で効率的に計算科目を伸ばすなら、やはり順序は以下がオススメです。
✓ ただ「問題をコピーして解きなおす」だけでは不十分
✓ 「計算パターンの習得」と「計算パターンのアウトプット」の2段構えで復習する
✓ 論点毎の計算パターンを整理し、徹底的に増やす(精読)
✓ チャートを1日一回転、徹底的に頭に定着させる(速読)
✓ 問題を解いて、チャートを実践で引っ張り出せるように練習する
上記を実践するには、最初は時間がかかるかと思います。ただ、「チャート」に起こす作業をする価値は、長い目で見て非常に高いと思います。もちろん、この方法が全てではありませんが、計算科目の勉強法の核として、私は理論科目と同様に『計算パターンのチャート化』をおすすめします。
まだ自分の勉強法が固まっていない方は、是非、実践をご検討ください。
★続けて「会計士理論科目のチャート勉強法」を読むならこちら
コメント
コメント失礼します。
計算方法をチャート化して勉強するというやり方、非常に参考になりました。
2点質問なのですが、まず雨降らしさんはこのチャートをテーマごと(予備校のテキストの章ごと)に作成したイメージでしょうか。計算科目でこのチャートをどの程度用意したのか、参考にさせていただきたいです。
また、上記チャートはいつ頃作成されたのでしょうか。試験の直前期に作成したのか、勉強の序盤の段階(予備校の講座等を1通り視聴したあと等)で作成されたのか、教えていただけますと助かります。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
ご質問について、回答いたします。
①チャートの作り方等
・計算科目については、大項目レベルで作成したものもあれば、個別論点レベルで作成したものもあります。
例えば、連結なら、「連結-資本連結>のれん>利益按分>取引/債券債務消去>受配消去」という大項目レベルのチャートもあれば、
中項目「持分法」や「在外子会社」等の単位で作成することも。
法人税は、項目別に単位が明確なのでまとめやすいですかね。
大事なことは、自分が抑えたい単位で区切ってまとめる、くらいでしょうか。
ちなみに、チャートの数は、相当数・・・だったと思います。ここは記憶曖昧ですみません。
②チャート作成時期
・作成は一通り学習した後でした。ただ、それはその時期までこの勉強法に行きついていなかったからかもしれません。
例えば、復習の都度、自分の頭の整理で作成するのもいいでしょうし、応用期では答練の都度、新たな論点をまとめるのもよいでしょう。
また、一度作成したチャートはまだ粗いはずです。それを、復習の都度、回していく都度ブラッシュアップし、
直前期までに精度の高いものに仕上げていくのがよいかと思います。
簡単ですが以上となります。正直、これまでやったことのない方法だと、どうすれば?が最初にくるかと思います。
しかし、いろいろ試す、まずやってみるのもいいかと思います。
時間との関係もありますが、試験直前期でなければ、是非、試行錯誤しながら挑戦してみてください。
試験が良い結果になることを祈念しております。