会計士試験合格者の「未就職問題」を知る

会計士挑戦、その前に
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挑戦前だからこそ会計士試験合格後の就職イメージを持つ

今回は「公認会計士試験合格者の未就職問題」をテーマにご紹介します。

挑戦を始めた時は、どうしても「合格」することばかり意識がいきます。しかし、「合格」した後にしっかり働くことができるのか否かも重要な要素であり、モチベーション維持につながるものです。

もちそん不確定事項も多いネタですが、今回は過去の事例をベースにご紹介します。事実として、是非、ご覧ください。知っておいて損はなし!

会計士試験に合格したのに就職できない?

会計士試験に合格したのに就職できない?そんな話を聞いたことがあるでしょうか。

 あれだけ勉強して合格したのに就職できないなんてことあるの? 

あめ
あめ

 合格した年によりますが、実際、会計士が就職できない(未就職問題)がありました 

この「会計士の未就職問題」がクローズアップされたのは、確か、2009年~2011年頃だったと思います。実は、その少し前、2007年、2008年あたりは逆で、会計士試験に合格さえすればBIG4の監査法人、どこでも就職できる状況だったのです。

わずか2、3年で就職環境が激変したわけですが・・・なぜそのような事態になったのか、後述したいと思います。

*以降記載の合格者人数は「旧二次試験合格者を除いた新試験制度短答式挑戦の最終合格者」としています。

会計士試験合格者(論文式試験)の就職状況イメージ

従前、会計士試験に合格したら、9割以上は監査法人へ就職するのが自然な流れでした。そして、その監査法人も主にBIG4と呼ばれる四大監査法人(新日本監査法人、トーマツ監査法人、あずさ監査法人、あらた監査法人)が膨大な求人数を出すため、ほぼほぼ大手の監査法人で合格者の大半が就職するといった具合です。

会計士試験合格者の就職イメージ
会計士試験合格者 1,300人
各BIG4の求人200名~300名→1,200名近くBIG4へ就職
BIG4以外→60名~70名
監査法人以外→残り
*あくまで、私見です。

上記のように、イメージとしては、1,300人の会計士試験合格者は、通常、当たり前のように就職できます(合格者数<求人数のケースも多々あります)。もちろん、年によってはこのバランスが多少崩れることもありますが、BIG4以外の中小法人、また、一般事業会社という選択肢もあり、会計士試験合格者は、基本、就職について懸念することはありませんでした。

会計士試験合格者の大量合格と就職できない問題

この状況に少し変化が出るのが、2006年の新試験制度による合格者増加です。このあたり、合格者推移のデータから見ていきます。

公認会計士論文式試験合格者推移 作成)CPA-MAP

新試験制度移行直後は問題なし|2006年

2006年は、最終合格者こそ多く見えますが、過半は旧二次試験合格者(既に監査法人で会計士補として勤務している者が多い)です。つまり、既に監査法人等で勤務している人達で、新たに就職市場には出ることは基本、ありませんでした。そのため、当該人数を除いた最終合格者1,372名が実際の採用対象であり、この人数は、旧試験の合格者数と変わらないため、就職市場にいおいてもあまり大きな影響はなかったという状況です。

試験制度移行後の歪みが潜在的に発生|2007年~2008年

一方で、2007年、2008年は異なります。旧二次試験合格者も最終合格者に含まれますが、それ以上にそもそもの会計士試験合格者が急増しています。

通常であれば、就職できない事態が予想されますが、実は、就職市場も大きな変化が起こっています。それは、「四半期レビュー」と「J-SOX」です。これまで、中間と年度2回の繁忙期が、3ヵ月毎に増え、J-SOXに至っては年間通じての稼働増となります。当然、莫大な人員が必要となり、見事に大量合格者を市場が吸収しました(むしろ、それでも会計士試験合格者が不足気味と言われ、科目合格者も就職できる状況)。

しかし、この状況も長くは続きませんでした。

合格者の未就職問題が顕在化|2009年~2011年

2007年、2008年辺りの就職市場バブル(四半期レビュー、J-SOXのニーズ)は一段落します。

合格者数も2007年(2,695人)→2008年(3,024人)→2009年(1,916人)と減少しましたが、いかんせん、2007年、2008年の合格者及び採用人数が多すぎました。いざ、業務が始まると、そこまで人は要らなかったという事態です。

監査法人側は前年までで必要人員は確保できており、求人数は激減。会計士試験合格者>BIG4の求人数という状況が発生する結果に。

つまり、会計士試験に合格したのに就職先がない、「未就職問題」の発生です。


この「会計士試験合格者の未就職問題」は報道等でも当時取り上げられました。とりあえず「会計士を急増」させようとする政策の批判もよく聞かれました。とはいえ、状況がすぐに改善するわけもなく、当事者にとっては、長い年月、場合によっては無職専念の期間を経て、合格を掴んだにもかかわらず、就職できないという深刻な事態に陥ります。

結果として、就職浪人や意図せず監査法人以外へ就職する等の動きも多く見られました。

未就職問題のその後|2012年以降

2009年(1,916人)→2011年(1,447人)→2012年(1,301人)と合格者数は絞られ、徐々に就職市場は改善していくこととなり、現在に至ります。

知ってほしい会計士試験合格者の「未就職問題」 まとめ


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✓ 2007年、2008年の合格者急増が影響
✓ 2009年~2011年頃まで「未就職問題」は続く
✓ 近年も多少の変動はあるが、やはり「試験制度移行」は受験者にメリットデメリットあり

まず、専門学校等多くのサイトでは「会計士試験は難関資格。努力は必要だけど手が届かない資格ではない。合格すれば就職も安心」というニュアンスの記載もみられます。しかし、自身が合格した時の就職環境は誰にもわかりません。試験制度変更のようなイレギュラーはないとしても、近年であれば、コロナによる経済環境の悪化等も回りまわって監査法人の求人数に影響もするでしょう。

そうした場合は、結局、少ない求人枠に対しての会計士試験合格者同士の勝負になります。2年で合格した者と10年で合格した者、どちらか一人採用するなら?と考えれば、短期合格を目指す優位性は十分にあります。

「合格さえすれば」という油断は決して持たない、短期合格にこだわることは優位性あり!
これがお伝えしたいことの一つ目です。

そして、二つ目。
会計士試験合格後の進路の広がりも念頭に置くことです。以前と異なり、近年は一般事業会社でも実務経験が積め、修了考査・公認会計士登録への道もかなり広がっています。もちろん、最初は監査法人という考えも多いと思いますが、合わせて、事前に会計士試験合格者が一般事業会社で働くという選択肢も排除しないことをおすすめします。

今回の記事は以上です。ご覧いただきありがとうございました。引き続き、当サイトの別記事もお楽しみください。

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