公認会計士とは何か、知ってから挑戦しても遅くはない
監査や会計の専門家。会計資格最高峰。
「公認会計士」になろうと思う前に、まずはしっかり、「公認会計士とは何か」を知りましょう。当たり前ですが、その当たり前ができておらず、「何となく会計士ならお金が儲かるかも!」みたいなイメージのみで挑戦するのはやめましょう。合格できません、きっと。
では、最初に。あなたは、「職業は公認会計士」と言われ、どのようなイメージを持つでしょうか。一般的には、「税理士=会計士」のイメージを持っている方も多いかと思います。これは、日常生活において、税務業務が身近(所得税の申告にしろ、中小法人の申告にしろ)であることや、街中で「xxx税理士事務所」の看板をよく見かけること等によるかと思います。また、そもそも絶対数が異なるのも一因でしょう。
おおよそですが、この記事を投稿している時点では、会計士約4万人<税理士訳8万人のようなイメージです。こういった絶対数の違いもあり、難易度に対し会計士はマイナー感があるのかもしれません。
これから会計士を目指そうという方は、当然ですが「公認会計士とは何をする資格なのか」をクリアにする必要があります。この点を明確にすることこそが、合格への第一歩!
というわけで、今回は「公認会計士のお仕事」として、具体的にどのような業務を行うのか、早速ご覧ください。
*特に実体験や同期のキャリアパターンをふまえて紹介している『監査以外の公認会計士の仕事』については、ご覧いただければと思います。
公認会計士の仕事
それでは、「公認会計士」とは何かを知るために、どのような仕事・業務を行う資格なのか等をご紹介します。まずは、端的に記載されたものとして、下記の公認会計士法第一条を引用します。
公認会計士法 第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。公認会計士は、「監査及び会計の専門家」であり、業務としては、「投資者と債権者の保護=国民経済の健全は発展に寄与」することとあります。
これだとわかりづらいので、もう少しかみ砕いて表現すると、
・監査⇒企業が作成する決算書等に間違いがないかをチェックし、お墨付きを与える
・会計の専門家⇒会計の知識を生かし、その他、関連業務を行う
といったところでしょうか。
これでもなかなかイメージが沸きにくいかと思いますので、以降、このブログではできる限りかみ砕いてお伝えしたいと思います(そのため、一部表現が正確ではない箇所もあるかもしれませんが、ご了承ください)
公認会計士の具体的な仕事内容を知る
『監査』とは何か?
まず、企業はいろいろな事業活動をしています。その成果、結果として、決算書を作成します。その決算書を参考に、投資家は企業の株を購入するかどうか考えたり、金融機関はお金を貸すかを考えたりするわけですね。つまり、「決算書」を信じて、検討、分析、決定をするわけです。
それでは、もし、その「決算書」がいい加減だったり、間違っていたらどうでしょうか?違った情報を信じて資金を投じた投資家は大損をするかもしれません。銀行は貸したお金が戻ってこないかもしれません。
こうした状況を起こらないようにするため、企業が作成した「決算書」を会計のプロが第三者目線でチェックする「監査」があるわけです。そして、こうした「監査」は、そのあたりに歩いている人でできるか?と言われれば、難しいですよね。そこで、その役割を担うのが、会計基準、法令に精通した人材「公認会計士」となります。
公認会計士のお仕事・・・企業が作成した決算書が正しいかを確認しお墨付きを与える
*なお、お墨付きを与えたけど不正が後で発覚したケースはニュースでもたまに報道されています。監査法人が見逃したのか、経営側が姑息だったのか、理由はいろいろありますが、場合によっては株主から監査法人が訴えられるケースも。社会的影響からも責任が重い仕事であることが間違いありません。
『監査以外』の公認会計士の仕事
基本的には、この「監査」が法律的にも認められている公認会計士の独占業務となります。そのため、法的に認められた監査を実施できるのは、公認会計士のみ(実際の多くは監査法人)となります。
しかし、公認会計士だからといって「監査」しかやっていないかというと、そんなことはありません。むしろ、それ以外の業務を行っている公認会計士は大勢います。私の同期のイメージだと、合格後、10年も経過すれば監査法人に残っているのは3割程度でしょうか。
ぜひ、ここでは今の自分が持っている「会計士の仕事」のイメージと、リアルな「会計士の仕事」のイメージのギャップがないか、ご確認ください。それでは、監査法人を退職した後、どのような仕事をしているか、代表的なものをみていきましょう。
公認会計士のお仕事・・・実際に私が会計士として行った業務や監査法人の同期のキャリア等を参考にお伝えすると、
- 監査業務/監査法人で上場企業の監査を実施
- コンサル業務/会計系のコンサルファーム等でアドバイザリー
- 税務業務/記帳代行、中小法人の申告、個人所得税申告業務がメイン
- 企業内経理/決算書作成等の経理業務、予算策定等の事業企画も
- 起業・CFO/ITベンチャーや人材会社のCEO、CFOや監査役にも
のような感じです。非常に多岐にわたります。なお、これらすべてに共通するのは、「高度な会計の知識」を生かした業務ということです。以下では、そのそれぞれについて、もう少し詳説を加えていきます。
コンサル・アドバイザリー業務
例えば、コンサル業務なら、クライアントに対しM&Aアドバイザリー(企業の買収をする時、買収相手の価値を評価する)業務や、近年であれば新たな会計基準の導入支援(日本のルールから国際基準への変更支援)、これから株式市場に上場を目指す企業に対してのIPOアドバイザリー等があります。
勤務先としては、会計系のコンサルファームが大勢を占めます。会計系というと会計分野に特化したコンサルファームという意図で使用するケースもありますが、基本、会計系ファームはBIG4を源泉とする会計事務所を母体とするところが多いのが実情です。アクセンチュア、PWC、DTC、KPMG、アビーム等でしょうか。
同期の転職組も数名、前述のファームへ転職しています(なお、2~5年でいずれも退職済)。理由はハードワークとか。
企業内経理・財務・経営企画等
また、企業内経理というキャリアもあります。企業で集計された決算データをとりまとめ、それを決算書に作成する業務や、投資家向けに情報発信する業務があります。経理というと、伝票を起票するイメージを持つ方が多いですが、会計士が転職する場合、大手企業の経理部、主計部といったところで、単体や連結の決算に関与するケースが中心です。起票も稀にするでしょうが、どちらかというと、起票をしている現場部門の指導、チェックを行うケースが多いでしょう。
ちなみに、私自身も売上1,000億円超の企業、1兆円超の企業で経理を経験しましたが、起票する機会はほとんどありませんでした。
また、企業内経理の派生として、予実管理・計画策定に関与する事業企画の職種や、監査での内部統制経験を生かす監査部、投資家向けの対応をするIR関連の部署で活躍するケースもあります。
このように、一言で企業経理内経理と言っても、かなり幅広いフィールドがあるのが魅力です。同期の転職パターンとしては、最も多いケースです。
税務業務
続いて、税務業務はどうでしょうか。これは、監査法人を退職し、独立して会計事務所を設立するパターンです。公認会計士は、手続きを経ることで税理士登録ができます。そのため、税理士登録を行った後に、個人事業主や中小企業向けに税務申告を行うことをメインに業務を行うケースが多くあります。
このパターンも同期で数名います。親が事務所をやっていて継承するケースもあれば、一から設立したケースもありますが、税務実務に慣れるまでは本当に大変です(特に税務はリスクが高いので)。ただ、数ヵ月でキャッチアップすることは可能です(会計士受験勉強に比べれば・・・)。
ちなみに、会計士なら会計士協会に事務所の登録を行いますが、その際は、必ず事務所名に「公認会計士」を含めないといけないルールになっています(ただ、それと実際に使用される企業名は異なるケースが多々ありますが)。×××公認会計士税理士事務所=公認会計士で税理士登録をしているケースということです。
公認会計士のキャリアイメージ まとめ
前述のキャリアパターンを簡単にまとめると以下のとおりです。
↓論文式試験合格後のキャリアパターンについてはこちらもご覧ください
公認会計士の資格(仕事、業務内容)を知る まとめ
公認会計士の仕事については、いろいろなHPでも記載がありますが、実際の業務内容は、思ったより幅広いものだったりしませんか?それゆえに、これからAIに取って代われれる等と言われていますが、大事なのは資格の「使い方」ではないかと思います。
是非、「公認会計士」の仕事、業務内容のイメージを具体的にしていただき、改めて試験への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか?
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