Q.25年7月の米雇用統計とドル円をどう考えるか?
✓ ここで取り上げる「米雇用統計」は、米国労働省統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics : U.S. Bureau of Labor Statistics)公表値を指します。
*ちなみに、労働関連指標は他にもJOLTS求人件数、ADP雇用統計等あり。いずれも集計対象、集計期間が異なるため、全て同じ方向に動くとは限らない。
*労働関連指標で最も影響力がある指標の一つがBLS公表の「雇用統計」
それでは、早速ですが25年7月の雇用統計とドル円についての見立てをご紹介。
そもそも、雇用統計のどこを見ればよい?
SNS見れば、いろんな方が結果をポストしていますが、公表の大元はBLSのHPとなります。25年7月分は下記HPのトップからみれます。
*引用元:https://www.bls.gov/

リンク先を見ると、概要が表示され、スクロールで下を見ると補足データが山盛りです。個人的には、概要とともに、TalbeB-1/非農業部門雇用者数の業界別データは見ておいて損はなし。

25年7月の実績はどうだったのか?
さて、雇用統計の結果について、今月は、25年6月と7月で変動した「非農業部門雇用者数」を見ています。

前月から+73千人にの増となります。予想が+108千人だったので、▲35千人の少し弱い結果となっています。
なお、各業種別の前月増減等も見れます。データが多すぎでどれを見たらいいの?となりがちですが、とりあえず、足下の景気動向を見るなら、「Construction(建設業)」「Manufacturing(製造業)」あたりをご覧あれ。
⇒ 理由は、景気変動に対し、その影響が早めに出る業種のため=景気悪化等を早めにキャッチアップできる業種。
⇒ 7月は建設が+2千人(修正後の前月よりは増)、製造が▲11千人(前月から引き続き減少進む)。前月より、弱さが見え隠れする動きです。

雇用者増の内訳もおさえる!
それでは、前月差で「+73千人」雇用者増の内訳を見ますが、合わせて前月の状況も比較しましょう。
✓ 25年6月と5月の差:+14千人=民間雇用/+3千人 政府雇用/+11千人(修正後)
(参考)
25年6月と5月の差:+147千人=民間雇用/+74千人 政府雇用/+73千人(修正前)
ここからわかることは以下です。
✓ 7月の雇用者数は修正後の前月よりは強い。ただ、もともと7月は弱めの予想だったのが、それをさらに下振れしている
✓6月の雇用者数修正後は、▲133千人。かなり異例の下方修正。前月、民間雇用はたったの+3千人とかなり労働市場が鈍化していた事実が浮き彫り。
特に2点目、前回値の修正でここまで下方修正というのは類を見ないレベルです。トランプ大統領お怒りで、BLSの局長はクビになりました。。。統計の信頼性にかかわる修正だったという話。
民間雇用+83千人の内訳は?
大きな伸びは+79千人で「Private education and health services」=医療、教育関連の業種で雇用が増です。これは、景気動向に敏感な業種ではないですね。つまり、この雇用者増≠景気堅調な指標とはなりません。そうなると、民間雇用+84千人も堅調とは言い難い評価になりそうです。

まとめ.雇用統計とドル円の動き見立て
25年7月の雇用統計は、7月結果もそうですが、それより前回値の下方修正に注目でしょう。この落ち込みなら、労働市場は鈍化という評価になりそうです。一方で、米金利はどうなるか?当然、経済鈍化の兆候に対し、利下げの選択肢が再び出てきます。結果、ドル円は円高に急転直下というのが現在の状況です。
ただ、金利はインフレ率との兼ね合いもあります。現在、関税影響でインフレ懸念継続中です。そのため、PMI、CPI、PCEといったインフレ指標も合わせて確認しながら、それらが「利下げ」判断の報告を示せば、方向感は決まりそうですね。
とはいえ、足元。あまりものサプライス下方修正でドル円暴れ気味。あまり一方向に信じすぎず、フラットにFXは向き合った方がよさそうです。
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