Q.25年6月の米雇用統計とドル円をどう考えるか?
✓ ここで取り上げる「米雇用統計」は、米国労働省統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics : U.S. Bureau of Labor Statistics)公表値を指します。
*ちなみに、労働関連指標は他にもJOLTS求人件数、ADP雇用統計等あり。いずれも集計対象、集計期間が異なるため、全て同じ方向に動くとは限らない。
*労働関連指標で最も影響力がある指標の一つがBLS公表の「雇用統計」
それでは、早速ですが25年6月の雇用統計とドル円についての見立てをご紹介。
そもそも、雇用統計のどこを見ればよい?
SNS見れば、いろんな方が結果をポストしていますが、公表の大元はBLSのHPとなります。25年6月分は下記HPのトップからみれます。
*引用元:https://www.bls.gov/

リンク先を見ると、概要が表示され、スクロールで下を見ると補足データが山盛りです。個人的には、概要とともに、TalbeB-1/非農業部門雇用者数の業界別データは見ておいて損はなし。

25年6月の実績はどうだったのか?
さて、雇用統計の結果について、SNS等で「+147千人」がよくポストされています、これは、前月からの増減数。つまり、今月は、25年6月と5月で変動した「非農業部門雇用者数」のことです。

ちなみに、各業種別の前月増減等も見れます。データが多すぎでどれを見たらいいの?となりがちですが、とりあえず、足下の景気動向を見るなら、「Construction(建設業)」「Manufacturing(製造業)」あたりをご覧あれ。
⇒ 理由は、景気変動に対し、その影響が早めに出る業種のため=景気悪化等を早めにキャッチアップできる業種。
⇒ 6月は建設が+15千人(前月までより増が大きい)、製造が▲7千人(前月同様減少傾向)。そこまでインパクトない印象。

雇用者増の内訳もおさえる!
それでは、前月差で「+147千人」雇用者増の内訳を見ますが、合わせて前月の状況も比較しましょう。
✓ 25年5月と4月の差:+144千人=民間雇用/+137千人 政府雇用/+7千人
ここからわかることは以下です。
✓ 予想に反し、6月の雇用者数は前月同様、強い伸びを示した。
✓ ただ、内訳をみると民間雇用の伸びは+137千人⇒+74千人と半減していることがわかる
特に2点目、民間雇用の伸びが弱くなっている点は留意が必要でしょう。
民間雇用+74千人の内訳は?
大きな伸びは+51千人で「Private education and health services」=医療、教育関連の業種で雇用が増です。これは、景気動向に敏感な業種ではないので、この増≠景気堅調とはならない。

まとめ.雇用統計とドル円の動き見立て
雇用者数の合計のみ注目すると、改定値の前月と同水準の増加。予想も上回る結果なので米経済好調継続の気配でしょう。実際、これを見て、SNSのポストでは「景気堅調、株価も上昇!」といった言葉が見られます。
ただ、中身を見ることが大事。実は、6月の増加が政府雇用の影響半分で、民間雇用は5月から大きく減少しているということ。
⇒ つまり、米経済の後退懸念はくすぶっている印象。CPIも注視しつつですが、労働指標で景気後退顕在化の可能性あり~米政策金利は利下げ~ドル円は円高の見立て、というのが少し長めの目線では良さげではないでしょうか。
もちろん、これ以外の材料が出てくる可能性もあり、どうなるかわかりません。あくまで個人的見解なのであしからず。
更新情報はtwitterで!
他の資格ブログは↓から
にほん ブログ村
コメント